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「……っや」    顔の横につかれた腕にすがって日向は体を起こすと、逸也が驚くのもそのままに馬乗りで腰を大きく動かした。いつもなら恥ずかしくてこらえてしまう切ない声も、いまは不埒な侵入者を追い出すために、我慢しない。 「イチさ、ん……っあ、あ、あ。イチさ、ね、好き」  逸也の頭を抱えるように抱き込み、追っ手から逃れるように、甘い糖蜜みたいな恍惚の海へ日向は深く沈んでいった。

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