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ああ、かっこいいなぁ。親父さんたちが引き立て役になっているのを差し引いても、逸也には人目をひく色気と華がある。あの胸に抱かれているんだと思えば自然と頬が熱くなった。
「彼氏登場」
アヤカにウインクされて頬の熱がさらに上がった。ヤバい、だから奥さん扱いされちゃうんだ。
あかねとアヤカがガヤガヤと着席する親父さんたちへ挨拶に行ってしまい、自分はそろそろ帰ろうかと腰を浮かせると、勝手知ったるでビールを取りに来た逸也と目があった。
「なんだ日向、来てたのか」
ほぼ二十四時間一緒にいるからほんの少し顔を見なかっただけで、しかもこんなふうに偶然に会えたことが嬉しくて気恥ずかしくてたまらない。アヤカたちにいじられた熱がまだ残っている頬が、また急速に熱されたようでうつむいた。逸也も同じように感じてくれてたらいいな、なんて思いながら。
「メシを……、一人ぶんだけ作るのが面倒だったから」
「そっか。食い終わったなら早く帰れ」
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