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 体を重ねるたびに、洗練されたビジネスマンだと思っていた高見沢のメッキはポロポロと剥がれていった。高級レストランが居酒屋になり、居酒屋がいつの間にか日向の住む小さな寮の部屋となる頃には、高見沢の持つどこそこのブランドだという財布の姿も見なくなる。  外食すればなんだかんだの理由のもとに支払うのは日向だったし、手料理を振る舞っても材料費を出してくれるどころか手土産の持参すらなかったから。  それでも、面倒をみてもらうばかりだった初恋相手の世話を焼く手間は、優越感という甘い糖衣に包まれた毒薬だと気づいていなかった。  「シェアしていたルームメイトとケンカ別れしてしまった」と言って寮に居座るようになってからは、さすがの日向も高見沢が普通の恋人には思えなくなっていた。  何度も「もう終わりにしたい」「別れたい」と高見沢を傷つけないよう伝えたが、そのたびに百倍くらいの言葉が返ってくるから話し合いにもならず、最後の決め台詞に「日向は俺を捨てるんだな」なんて言われれば、もう返す言葉も見つからなくなる。

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