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 どうしてこんな時間に高見沢がいるんだろう。まるで日向が来るのを待っていたかのようなタイミングで。今日だけじゃない。そう、いつもこの人はまるで日向を監視でもしてるかのように現れる。 「あんな田舎臭い店でこきつかわれて辛かっただろ? 日向はさ、シェフになりたかったんだもんな。あんな地味な惣菜なんて作らされてかわいそうに。でももうあいつから逃げてきたんだし、これからは僕と前みたいに楽しく暮らせるね」 「ふざけんなよ。誰のせいで俺がシェフを諦めたと思ってんだ」 「お金のことなら心配ないんだよ。ほら」  高見沢の手に握られた封筒に、日向は目を見張った。あけぼの信用金庫。まさか。 「それ、金物屋さんの……」 「あのおばさん、おしゃべりだよねぇ。っていうか、この商店街ってみんな危機感なさすぎ。あれだけ僕が注意して回ったのにね。まぁ、おかげでどっちの仕事もしやすかったけど」  最初に八百屋へ空き巣が入ったと聞いたときによぎった暗い想像が、まさか本当だったとは。 「空き巣事件の犯人……、慧ちゃんなんだね?」

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