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「ビンゴ。ってか、今ごろ気づいたの? 相変わらず緩いよね、日向は。まあ、そういうこところがいいんだよね。僕がいないとダメな感じ」
くつくつ笑う顔には罪悪感の欠片もなく、むしろ得意気に、楽しそうにすらしている高見沢が薄気味悪かった。壊れている、この人は。
「防犯するには手口を知らなきゃならないでしょ。知ったらやってみたくなるよねぇ。で、やってみたら金になるしビビった連中から契約取れるし一石二鳥だよね」
「ふざけんなよ。犯罪だろっ。なにが一石二鳥だっ」
「ああもう、うるさいなぁ。いいから行こうよ。こんななにもない町にいてもいいことないよ」
つかまれた腕をぐいぐい引かれたときだった。
「高見沢っ」
暗い路地から飛び出してきたモッズコート。広い肩のシルエット。長い足先のドクターマーチン。暗闇でも大人の色気でまぶしいほどの男前。
「イチさんっ!」
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