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「自分だけ幸せになるわけ? おんなじ施設で育ったくせに。親に捨てられたくせに。ホモのくせに。よだれ垂らしてシッポ振ってまとわりついてくるから仕方なくヤってやったのに、その恩を忘れるわけ? チビでどんくさいお前なんか、僕のためにせっせと金運んでくりゃいいんだよ」
突然の展開と恐怖でガチガチに固まってしまった日向へ、逸也が「大丈夫だ。安心しろ」とでも言うような視線を送ってくる。そうだ、落ち着け。こんなやつに刺されて人生終わらせるなんて真っ平ごめんだ。
瞳に力の戻った日向の様子に、逸也が視線で「よし」と返してくる。怖くない。逸也がいる。
「高見沢さんさぁ、日向のこと、離してやってくんないかなぁ。あんたが金物屋に忍び込んだ件でもうすぐ警察が来るんだよねぇ。空き巣だけならまだしも、拉致と連れ去りが付いたらさすがにヤバいっしょ。いま日向を離してくれたらそのオシャレなナイフのことは黙ってるからさ」
「ごちゃごちゃうるさいなぁ。金物屋とか、なんの話だか意味不明だし」
「あらやだ、知らないとかおかしくない? スパイウェアっていうんだっけ。日向のスマホに仕込んだでしょ? あれってすごいのな。位置情報だけじゃなくて遠隔操作で音声拾ったりも出来るんだもんなぁ」
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