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「……くそ」  高見沢の気がアヤカたちとの会話にそれている隙に、逸也がそろそろと間を詰めてきていた。落ち着け。チャンスを逃すな。逸也の目がそう伝えてくる。 「証拠は揃ってんのよっ。もう逃げられないんだからおとなしく観念しなさいよっ」 「うるせぇオカマっ。キモいんだよっ」 「ちょっとっ! キモいのはどっちよっ! ヒナちゃんはね、あんたのことが嫌いだって言ってんのよっ。あんたと一緒にいたくないから逃げてきたのよっ。なのにネチネチネチネチ追いかけ回して、あんたこそキモいの代表よっ。このクサレキモ男っ! だいたいね、空き巣しようってのになんでそんな目立つ時計付けてきちゃうわけ? こんな場面でもキメちゃう俺ってやつ? 勘違い意識高い系? あんたのその素敵にインスタ映えする空き巣風景を、全世界に拡散してあげましょうか? ホントあったま悪いわよねぇええええ」 「てめぇ、言いたい放題言ってんじゃねぇぞ」  あかねのマシンガントークに高見沢の意識が日向から逸れた。今だ! 

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