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13―14
小さな子供をあやすみたいに優しくさすられた背中から、慈しむようなあたたかさが広がっていく。逸也の全身から伝わる愛情がまるでやさしい雨のように日向の心を潤すから、数時間前あれだけ泣いたというのに涙は枯れることなく溢れてくる。
そんな日向の目元を逸也が親指でそっとぬぐい、「もう泣くな」とでも言うように唇を寄せてくる。嬉しくて嬉しくて、日向は首もとへ腕を回すと背伸びをするように口づけをねだった。久しぶりに触れた逸也のやわらかな唇に陶然となる日向だったが。
「あああ、よがっだわー。ほんとうによがっだぁあああ」
野太い鼻声に我に返り逸也の胸から飛び退いた。あかねは盛大に鼻をすすりながら巧に抱きついておんおん泣いているし、抱きつかれた巧も糸のような瞳を潤ませて「よかったよかった」とうなずいている。そしてアヤカといえは、そんなふたりと日向たちへ交互にカメラを向けて激写しまくっていた。
「お前らなぁ、見物料取るぞ」
照れた逸也がかばうように日向を背中に隠したところでパトカーのサイレンが聞こえてきた。とたん陸自出身のあかねがシャキンと背筋を伸ばし、キビキビとした手つきで伸びている高見沢の手足を手際よく拘束し、ああこれで一件落着だと誰もがほっとした瞬間だった。が……。
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