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 団地いちばんのおしゃべり勝田さんが、犯人は日向じゃなかったと言って回るのは確実で、そうなればあっという間にトキタの客足は戻るだろう。育児の忙しさで、吉岡家の食卓もトキタなしでは成り立たなくなるに違いない。 「ふふっ」  どちらからともなくふたりは顔を見合わせた。繋がれた手のひらから伝わるあたたかさで、心が幸せにひたひたと満ちてくる。 「さてと、これにて事件は一件落着だ。だがしかしっ、落着されていない問題がひとつある」 「なんですか?」  まだなにかクリアしなきゃいけない事態があるのだろうかと不安げな顔をする日向へ、逸也は端整な顔を二カッと綻ばせた。 「俺のスーパーマグナムはまだ収まるところに収まっていないのだ」  股間へと手を引かれて日向の頬が爆発した。 「なにしてるんですかっ。この」 「変態っ!」  先回りして楽しそうに叫んだ逸也は、繋いだ手を強く握り直すとトキタへ向かって駆け出した。腕を引っ張られながら慌ててあとに続く日向の表情も、逸也に負けないくらい綻んでいる。  トキタへ帰ったらすぐにふたりで濃密な時間を過ごすことになるのだろう。そしてきっとそのあとで、逸也はいつも通り店を開ける。商店街や団地のみんなの胃袋を満たすために。 「オカズはさぁ、見てるだけじゃなくて食べないとなっ」  笑う逸也に並んで走りながら、いつでもいつまでも、逸也の空腹を満たす存在でありたいと思う日向だった。 【おしまい】 **** 最後まで読んでくださりありがとうございます。 本編は完結しましたが、このあとおまけSSを載せる予定です。 よろしかったらもう少しお付き合いくださいませ。 渦巻なぎ

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