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第11話 偽善者

コンコン ノックをするが返事はない。 テストが終わり今日は久しぶりの部活だったが基礎練習だけで終わった。 ふと思うのだがこの学校はこの練習量で良いのだろうか。 推薦を頂けただけでもありがたいが中学よりも明らかに休みが多い気がする…。 とぶつぶつ頭のなかで考えてたら 返事が聞こえた 「どうぞ…。」 あ、誰かいるみたいだが白羽ではない この声は白羽のおばちゃんだろうな。 「あ、し、失礼します…。」 「っ‼」 おばちゃんは呆れ顔と嫌そうな表情を混ぜていた。 「この部屋に何のよう? あなたにはもう面会に来ないでといったはずよ。」 心が軋む音がした。 「あなたは自分が5年前に何をやったかわかっててやってるの? あなたは善意のつもりでも私から見たら偽善にしかみえない。 事故の事を思い出させたくないのにあなたがずっと面会に来ると嫌でも白羽は思い出させてしまうでしょ。 白羽も口にしないだけであなたを邪魔だと思ってるから。 お願いだから来ないでちょうだい。」 口々に出てくる言葉は見事に僕の心とお腹をエグる。 あの日以来の僕と白羽の関係は親同士でも嫌煙(けんえん)になった。 あの日以前はあんなにおばさんちに遊びにいってたのに。 人の命を奪うことは本当に重い罪だ。 例えそれが正当防衛だろうが、不注意だろうが命を奪うことは等しく罪だ。 もちろん、未遂であっても。 1回の罪を犯そうが100回の罪を犯そうが変わらない。 ほんとそうだよね。 他人から見れば 犯人が殺しそこねた相手に会いに行くなんて 恐怖と悪影響でしかない。 僕は考えれば考えるほど胃がキリキリしてきたからおばさんに すみません。今日きりで面会には来ません。 そう言って僕は足早に白羽の病室からでた。 これが最後の面会…。 本当に会いたかった恋人に会うこともなく終わったと思うと涙がとまらなかった。 うぅ…。 うぅ…ヒック…う…ううぅぁぁ…。 今はまだ病院にいるとわかっても泣きたかった。 せめてこの時だけでもワガママになりたかった。 だが、神様はそれすら許してくれないみたいだった。 うぅッグ…。 こみ上げる胃液。 僕は我慢できず出してそのまま気を失った…。

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