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第14話-白羽-

んだよあいつ。 散々邪魔して、引っ掻き廻して、図々しく居座ってた癖に、 鬱陶しいだ? 何様だ。 俺は赤の他人を受け入れてやってたのによ。 くそ、膝がいてぇ。 ガラガラガラ 「本当にいた。」 「あら、良かった。帰ってきた。ごめんね、あまりあなたに会いに行けなくて。」 「いや、いいよ。別に。弟のこともあるから気にしてない。」 イライラする。 なんだよそのよそよそしい態度は。 目の前に息子が要るのに『あなた』? 俺は単身赴任中のあんたの旦那じゃねんだよ 「そう…。実は私、あなたにお願いがあるの。」 「は?なに?」 「今日、あなたがどこかに行ってる間に1人の男の子が来たの。あなたも会っていない?」 男? あいつか? 「黒田ってやつか?」 「やっぱり会ってたのね。お願い。あの子との面会だけはもうやめて。」 「は?なんでだよ。」 「決まってるでしょ。あの人はあなたに悪影響しか与えない存在なの。私はあの子が赦せない。」 赦せない? なんでだよ。 あいつは俺になにもしてない。 なのになんで母さんが怒ってんだよ。 「いや、あいつが俺に何したって言うんだよ。 俺が知らない相手と何の関係があって赦せねんだよ。」 「それは…。」 「だいたいさぁ、母さんは弟の事があるから面会に行けないとかって思ってんのかしらねぇけど、 あいつは、自分が部活あとで面会時間があと10分もなかろうが、 ストレスで俺の前で嘔吐しようが毎日会いに来た。 関係のないはずの俺にな。 だからさぁ息子の為に言ってんのか知らねぇけど、 毎日会いに来てくれる奴に対して、 目を覚ましてから1回しか面会に来なかったやつに言われたくねんだよ。」 「ごめん…なさい。」 は、泣いてんじゃねぇよ。 自業自得だろうが。 「なぁ、知ってるか?俺がなんで朝から病室にいなかったか。 知らねぇだろうな。 俺は目が覚めてちょっと時間がたってからずっと膝が痛い。その痛みは日に日に増して最近は腰や肩もだ。なんでだと思う?」 「まさか…あなた…」 「何がまさかだよ。俺も男だぞ? いつかは成長期が来る。いわゆる成長痛だよ。 医者に言われて嫌だったよ。 あぁ、また外見ばかりがもとの時間に戻るんだなって。 そう思いながらに病室に戻ろうとしたら、あいつが俺の前で嘔吐して倒れたんだよ。手には紙袋を握ってた。 中身は湿布や痛み止の薬だった。 あいつは気づいてたんだよ。」 そう。気づいてた。必死に握ってた。 ここは病院だってのにわざわざ持ってきてくれた。 その優しさは心地よかった。 「ごめん…。ごめん…。私、黒田君に酷い事を…。」 「そうだ。毎日来る奴に最低なことしたんだよ。」 「私、黒田君にもう面会に来ないでって言ったの。あなたが目覚める前から何度も」 は? ちょっと待てよ…。 じゃ、あいつがあんな言い方してきたのは わざと…? ガラガラガラ‼ 俺は全力であいつのとこに行った。 だいたいおかしいと思ってたんだよ。 あいつのストレスは5年前から。 俺が事故にあってからだ。 俺たちが無関係な筈がない。 頭の中では赤の他人だと思っても 心の隅ではずっとモヤモヤしてた。 きっと何かあった筈だ。 なんでそれでも俺は思いだせねんだよ‼ 拳を強く握りしめたが あいつがいた病室にあいつはいなかった。

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