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第16話 僕
「屋上にベンチなんてあるんだ。」
僕たちは屋上まで行っていた。
「俺は結構行ってたんだ。ここからの眺めはいいしなにも考えなくていい。空っぽのままでいれる。俺は女かよww」
僕はなにも言えないでいた。
「で、話してもらおうか?」
「そうだね。じゃぁ白羽はどこから知りたい?
事故について?
僕について?」
「そうだな。まずはお前のことだな。」
「そう。」
どう言えばショックが少ないか
どうすれば元に戻れるか
頭のなかで渦巻くこの感情に僕は今にも爆発しそうだった。
「僕はね小学3年に白羽のいる学校に転校してきたんだ。
お父さんが転勤族だったみたいで単身赴任で色々まわってた。
そのうちの1回を家族で引っ越したんだ。
お父さんもお母さんもいつも大変そうだったよ。
お父さんは仕事。
お母さんは家事全般。
僕は…ただの飾り…かな?」
白羽は黙って僕を見つめている。
「それでね、僕は始めての転校だからとても不安だったけど新しいことや新しい友達が増えると思うと楽しみで学校に通っていたんだ。
でも違った。
人見知りが災いを呼んで僕はずっと一人だった。
そんなときに声をかけてくれたのが隣のクラスの東堂 白羽。
君だった。」
---小学3年のとき---
「なぁ!」
「え⁉な、なに?」
「お前転校生だよな?俺の名前は東堂 白羽‼よろしくな‼」
え?急になに…?
「よ、よろしく…。」
「いや、違うよ、名前教えろって
名前を聞くときはじぶんからって親父に言われなかったか?」
え?そんな会話しないけど…。
「ご、ごめん。くろ……ぃ」
「バカ聞こえねぇよ!」
「く、黒田‼
黒田 誠です…。」
「へぇぇ、俺さお前んちの隣のとなりに住んでんだ。お前がとぼとぼ家に入るの見たからさ。
近所として仲良くしようぜ‼」
み、見られてたんだ…。
恥ずかしいな…。
「う、うん!よろしく‼」
「じゃ、俺たち友達になれたし
せい!今日学校でバレーボールしようぜ‼」
「え?僕やったことないよ…。」
「そんなの俺が教えるから大丈夫だって!
じゃぁ、帰りの会の後な!」
東堂くんて無理矢理だなぁ。
これが僕の最初の印象。
でも心の奥でスッゴク喜んでたと思う。
だって人生で初めての友達だから。
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