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第20話 嘘

結局僕は水も飲めずトイレにもいかず そして寝れなかった。 僕にはなんの話をしているかわからなかった。ただ1つ分かったのは、 あの家で僕はただののけ者だったってこと。 あの家にはもう。 何もないんだ。 「よう!せいおはよう。」 「お、おはよう。」 「なんか元気ないな。どうした? 昨日のことか?」 「え?あ、あぁ、昨日ね、話してみたよ。そしたらじゃ、もっと仲良くなろうだって。だからもう大丈夫だよ。 元気ないのは嬉しすぎて昨日眠れなかったんだ。アハハ」 友達についた初めての嘘。 胸が酷く締め付けられた。 「うっわほんとだ、くもがすげぇぞ。」 「それを言うなら、くまだよ。 しろうは天然だね。」 「は?いい間違えただけだし。」 あぁ、どうしよう。 こんなに胸が締め付けられるのに 白羽の仕草を見るだけでその痛みが緩む。 緩めてはいけないのに、心地良くなる。 僕にはもう白羽しかいない。 頭のなかは白羽のことでいっぱいだった。 それからも僕たちはいっぱい遊んだ。 遊んだあとに家に帰るのは辛かったけどでも明日になればまた白羽に会える。 そう思うだけで、家が暖かくなくても 僕の心はとっても暖かかった。 こんな気持ちになれたのも白羽のおかげ。 でもこの思いがただの友達ではなく 恋心だと気づいたのは小学6年。 時間は長いけど僕はその事に気づいて嬉しかった。 それと同時に悩んだ。 僕の知ってる恋は男の人と女の人が好きになることで僕のこの好きは実は違うかもしれないと、 でもどうしても伝えたかったんだ。 だから言った。 「ねぇ、白羽。ツキアウって何かな?男の子と女の子じゃないとダメなのかな?」 「はぁ⁉ツキアウって言うのは好きなやつ同士がずっと一緒にいることだろ?」 「じゃぁ、僕、白羽とオツキアイしたい。僕、白羽のことが好き。ずっと一緒にいたい。」 「……え?…。」 そして話は原点に戻り 僕たちは恋人になれた。

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