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第3話 嬉し涙は悲し涙へ
目が覚めたらそこには真っ白な天上があった。
ピッ…ピッ…ピッ…
規則正しい機械音。どこから聞こえるのかと思い右側を見たらそこには色々な線に繋がれた白羽がいた。
「しろう…目を覚まして白羽…。」
その奥で泣きじゃくる白羽のお母さんと隣に立つお父さん。
僕の左隣には涙1つ流さない父と母がいた。
「誠。目が覚めたか。お前、自分が何したかわかってんだろうな。自分の不注意で飛び出し、大事な友達を傷付けた。
白羽君はもう目を覚まさないようだ。」
父の言葉で僕は全てを理解した。
青信号だと思い車の確認をせず浮かれた足で前に出たところ車が信号無視で突っ込んできた。それを察知した白羽が身を呈して僕を突き飛ばしたのだった。
僕は病院中に響き渡る声で泣いた。
今度は嬉し涙じゃない。白羽に対しての悲しみ、自分に対しての怒りと憎しみ
僕は喉が潰れるまで泣き続けた。
後で警察が来て言われた
運転手は飲酒による居眠り運転。子供を引いた事を受け入れたくないのかそのまま逃走し、海に身を投げたそうだ。
運転手は独り身だったため、
白羽の家族は僕たち家族に多額の慰謝料と白羽の医療費を要求してきた。
次の日あまり外傷のない僕は退院したが、あの日の事故が毎日フラッシュバックしてきて、その度に嘔吐を繰り返す。
医者にかかれと父に言われ僕は精神科に通い始めた。
それは高校2年でも続いている。
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