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第7話 友達

ガサガサガサ 「んン?おはよう、白羽。ごめんね寝ちゃってて。喉乾いたよね?水いれてくるよ。」 どうしよう、結構寝ちゃったな。もう夕方だし、もったいない事したな。 白羽が目を覚めてもう1週間。 僕は未だに白羽が記憶喪失になっていることを受け止められずにいた。 医者からは 5年も寝たきりだったから一時的な可能性が高かく、時間がたつに連れ思い出すと思うと言われた。 目が覚めた時は自分が誰なのかさえ忘れていた。 1週間たって僕以外に白羽のおじさんとおばさんも面会にきているから二人の事は記憶が戻ったみたいだ。 二人の誕生日を言えるくらいだから間違いない。 ただ、 僕の事はまだ分からないみたいだ。 「なぁ、なんで毎日毎日飽きもせずここに来るんだ? 俺はお前の事は知らねぇ。親父や母さんはもちろん、小学生の頃のみんなも思い出したのにお前だけ知らねぇんだよ。 本当に友達なのか?」 友達。 今の僕たちは友達関係にすらなれていない。 白羽にとっての俺はただの世話焼きの他人が毎日飽きもせづ面会にくる男。 「はは。失礼だなぁ。僕は友達だよ? だからこうやって毎日来てるんだよ。僕は君の事を大切な友達だと思ってるから。」 ズキンと痛む胸にじわりと登り始めた喉の違和感。僕は咄嗟に個室の備え付けトイレに入った。 「おいおい、大丈夫かよ。俺から見たらあんたの方が重症に見えるぜ。 他人のこと気にせずに自分の事気にしろよ。」 彼からでる優しい一言。それとは裏腹に僕は目が霞んできた。 他人か……。 今の白羽は僕の事を友達とも認めてくれないそうだ。 「本当に白羽は優しいね。でも大丈夫だよ。僕はもう逃げないと誓ったんだ。 それに……」 僕は言おうとしたが口にしなかった。 「あ、もう17:00きちゃうよ。17:00から院内学級に行くんでしょ?」 そう。白羽は小学6年から学校に行けてない。無理もない。これも僕のせい。 また記憶を取り戻すためにも病院の中にある塾のようなものに通っている。 この塾に通う人は必ず小学1年からの学習内容を受けるがさすが白羽。もともと頭がいいし運動ができるからすでに中2の内容を教えてもらっている。 正直脅威的だ。 文字道理みんなを恐怖にさせる。 「うわ、まじか。俺英語嫌いなんだよな。じゃ、お前も明日学校なんだろ?早く帰れよ」 そういって彼は病室から出ていった。

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