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「部屋汚いねん」
「掃除してないからな」
若頭さんが何かの書類に目を通しながらそう言った。
「片付けえや」
「面倒くせえ」
「出したものを元あった場所に片付けるだけやん。いちいちその手間を面倒臭い言うてたら、ゴミ屋敷なるで」
「じゃあお前が片付けろ」
「"じゃあ"の意味がわからへんわ」
とか言いながら、床に落ちてある紙を拾い上げる。
何やこれ、捨ててええんか?
「これ、捨ててええの?」
「…多分」
「多分てなんなん、ほら、見て」
「チッ」
俺の渡した紙にサーっと目を通した若頭さんは「いらね」って言うて俺に返してきた。いや、捨てろよ。あんたの近くにゴミ箱あるんやから。
「若、親父がお呼びです」
「すぐ行く」
これから掃除を始めようって時に、タイミング悪く組長さんが若頭さんを呼ぶ。
「適当にやっとくで」
「ああ」
部屋から出て行った若頭さんを見てから部屋を片付ける。ようわからんやつは整えて若頭さんの机の上に。
床はある程度綺麗になった。よし、と腰に手を当てたところで部屋のドアが開き若頭さんが入ってくる。
「来い」
「え?」
「親父が呼んでる」
「話があるんやったら自分から来いよって思うんやけど」
「まあ、それはそうだけどな。とりあえず来い」
若頭さんに連れられて組長さんの所に行く。
組長さんに会うのは二回目で若干緊張するけど、まあ、若頭さんがおるなら大丈夫やろう。
「親父、入るぞ」
「ああ」
組長さんの部屋に行くと、組長さんが優しい顔して笑って俺に酒を渡してくる。まだ、昼間やで。なんて思いながら勧められるがままにそれを飲みつづけてると、結構酒が強かったみたいで、若頭さんにもたれかかってボーッとしてるしかなかった。
「親父、何する気だ」
「そいつを売ろうかと思ってな」
意識がボーッとしてる俺の前でそんな話をしだした二人。
え、売られるって何?若頭さんに聞こうと思ったら、若頭さんが「ふざけるな」って突然大声を出した。
「こいつは俺のものだ、今更誰かにくれてやる気なんてねえよ」
「…落ち着け、宗」
「そんな話をするためにこいつを連れてこさせたのか?くだらねえ、部屋に戻る」
怒った若頭さんに腕をグイッと引っ張られて立ち上がる。
けどグラッと体が傾いて倒れそうになる。そんな俺を抱っこした若頭さん。
「なあなあ、暑いんやけど」
「すげえ飲んでたからな」
「暑い…なあ、暑いって」
「うるせえ我慢しろ」
そのまま部屋に戻った俺はベッドに放られるように降ろされ、そのまま深いキスをされた。
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