20 / 32

「やから、宗ちゃんは必要とされたいんや?」 「…そう思う時がある」 俺を抱きしめて深く息を吐いた宗ちゃん。 「俺な、宗ちゃんのこと必要やと思ってんで」 「今は俺がお前のライフラインを握ってるからな」 「そういう事ちゃうくて!…まあ、それもあるけど」 完全否定はできひんけど、でも確かにそれだけやないってのがわかる。 大和には申し訳ないけど、あの時、大和と別れた時、大和は俺やなくて浅羽組を選んだ。 それやったら俺にも、大和やなくて宗ちゃんを選ぶ権利がある。 「宗ちゃんの事、大好きやから」 そんな俺の言葉に、宗ちゃんは俺の耳元で囁くように呟いた。 「ありがとう」と。 「ほんで、なんで、こんなに抱き潰されなあかんの…」 「俺の事が好きって言った」 「うん、言うた。」 「俺もお前が好きだ」 「うん」 「だから」 「ぶっ飛んでるな」 ベッドで寝転びながら、汗かいて色んな液体で濡れてる俺の体を宗ちゃんは、嫌がること無く抱きしめてくる。 「風呂入りに行こう」 「連れてって」 「ああ」 シーツで包んだ俺を抱っこした宗ちゃんは、部屋を出て風呂場に向かう。宗ちゃんの顔を見上げると機嫌がいいみたいで少しだけ頬が緩んでいた。 この調子でこれから思ってることは全部言えたらええのになぁって思いながら、風呂場に行くまでに見える庭の花を見た。

ともだちにシェアしよう!