24 / 32

10

ほぼ毎日のようにセックスするけど、宗ちゃんは多分、セックスがめちゃくちゃ好きなわけやないんやと思う。 俺の事が好きやって気持ちを言葉で伝えるのが恥ずかしいとか、そういう理由でセックスしてるような感じ。 そういう宗ちゃんの性格を知る度に、伝えることがほんまに苦手なんやとわかって、ちょっと残念な気持ちになる。 けど、たまに、すごく優しい時があって、俺自身が気付かん変化に、宗ちゃんは気付いてくれる。 夜中、たまたま目が覚めてしまった俺は、隣に眠っている宗ちゃんを座って見下ろした。 今日もセックスした。最後には意識飛ばしたけど、体が気持ち悪くないってことは宗ちゃんがお風呂に入れてくれたみたい。 でも、一つ文句を言うなら、そこまでしてくれたんやったら下着くらい履かせといてくれ。 綺麗な宗ちゃんの寝顔を見下ろして、それから俺はベッドサイドのテーブルにある煙草と宗ちゃんのジッポーを拝借し、煙草を1本口に咥え、火をつけた。 部屋も電気をつけてないから真っ暗で、外も暗いから煙草の火がやけに明るく見える。 それが、すごく虚しい。 「はぁ…」 前に宗ちゃんに根性焼きされた肩を片手で押さえる。 今は全然痛くないし、何ともないけど、宗ちゃん自身がつけた消えることのないこの傷が、俺は好き。 「…ん…琴音…?」 「ん?」 宗ちゃんが薄く目を開けて俺を見上げた。 頭を撫でてあげたら、すぐにまた夢の世界に落ちようとする。そういうところ、可愛いと思う。 「泣いてんのか…?」 けど、唐突にそう言ってきた宗ちゃんに思わず笑みが漏れた。 「泣いてへんよ」 「…そうか」 「ほら、まだまだ朝こうへんから、ゆっくり寝て」 「お前も寝ろ。…それ、消せ」 「はぁい」 灰皿に煙草を押し付けて火を消す。 またベッドに横になると宗ちゃんに抱き寄せられた。 「おやすみ」 「うん、おやすみ」 宗ちゃんの体温は温かくて、ほんまに涙が出そうになった。

ともだちにシェアしよう!