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前に会ってから、あんまり好きじゃない相手が目の前におる。
宗ちゃんのお父さんで組長さんのその人はニヤリ笑って俺を見ては酒を煽った。
「前にお前を売り飛ばそうとしたけどな、あれは冗談だ、気にするな」
今日は宗ちゃんは仕事で夜遅くまで帰ってこうへんらしい。そこを狙って俺と2人きりで話そうなんて、汚いな。ていうかそんなもん、冗談で笑い飛ばせるか、アホ。とか思いながら、視線を落とした。
「宗はお前のこと、ちゃんと見てやれてるのか」
「…よく、してもらってますけど」
この人の前やと、どうしても素直にはなられへん。
もう根っから腐ってるからやと思う。
「へぇ。なあおい。お前、こっちに来い」
「はぁ」
嫌やけど、組長さんの方に近づけば引き寄せられて、体が密着する。
「脱げ」
「は?」
「早くしろ。」
服の裾を持たれ脱がされていく。抵抗するけど組長さんが組員さんを呼んで俺を押さえつけたから、意味が無い。
「ちょ、やめろやっ!!」
「そのまま押さえておけよ」
組長さんにケツを向ける格好。手足をバラバラに押さえられたらもう逃げられへん。
ケツにぬるぬるしたローションがかけられる。
組長さんの指が孔の周りを触って、中に入ってきた。
俺が痛くないように丁寧に優しく気持ちよくする為の中の触り方やなくて、ただ自分が満足する為の触り方。
「やめろっ!痛い、いたっ!!あっ、離せっ!!」
「うるせえぞガキ」
俺を押さえつける組員さんが、俺の頬を殴った。
ついつい涙が出てきて、畳を濡らす。
「いや、嫌やっ…宗ちゃん、宗ちゃんっ!」
「うるせえ…」
「宗ちゃんっ!!」
宗ちゃんの名前を泣きながら必死に呼んで助けてってお願いした。
そんな運良く宗ちゃんが帰ってくるわけがないのに。
そんな時、「親父、失礼します」と聞き覚えのある声が聞こえてきて、襖が開く。
そこからは東雲が現れた。
「琴音さんが泣いたら若に連絡をするように命令されています。ので、連絡をいれますね」
「…勝手にしろ」
「それから、若は琴音さんのことを溺愛してるので、親父のその行動がバレたらまずいと思いますが」
「俺が組長だ、誰も俺に逆らわねえよ」
「そんなこと、無いと思いますけど」
中から指が抜かれて、押さえつけられていたのもなくなった。畳に横になって涙を流し震える俺を東雲が、俺の脱がされた服を拾って掛けてから抱き上げる。
「落ち着け、部屋に連れていくぞ」
「う、っ…嫌…いやや…あ、ぁ…」
そのまま部屋を出て、宗ちゃんの部屋に連れていかれたけど、宗ちゃんはおらんくて悲しくなる。
わけがわからんくてパニックを起こしてる俺に「若はもう帰ってくるから」という東雲の声は聞こえんくて、泣き喚いて地べたに蹲った。
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