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ドタドタと足音が聞こえたかと思えば、部屋にうるさい音を立てて入ってくる誰か。
頭が混乱してわけのわからんことになってるから、その音が怖くて、止まりかけていた涙がまた溢れ出す。
「琴音」
「いや、いや…っ」
「琴音、俺だ。ほら、こっち見ろ」
それは間違いなく宗ちゃんの声やった。
ゆっくり顔を上げて声の聞こえた方に顔を向けると宗ちゃんがすぐ側におって、思い切り抱きついた。
「宗ちゃ…」
「話は聞いた。悪かった。」
抱きしめられて頭を撫でられる。
宗ちゃんの匂いを胸いっぱいに嗅いで、でもそれだけじゃ足りんくて、呼吸が荒くなる。
「琴音、もう大丈夫だ」
「宗ちゃん…っ」
「中の、気持ち悪いだろ。洗いに行こう」
「出たくない…もう、部屋から出えへんっ」
「…わかった。…東雲、お湯とタオル用意しろ」
俺を抱っこして、ソファーに座った宗ちゃん。東雲がお湯とタオルを持ってきて、それを宗ちゃんに渡した。
「力抜いてろ」
「宗ちゃん」
「大丈夫だから、な?」
キスをされて、宗ちゃんにもたれ掛かり力を抜く。
指が中に入ってきてグリッと少し強めに弄られる。
「や、ぁ…そう、ちゃ…ンっ」
「親父にどうやって触られた」
「い、痛かった…」
「こんなにローション使ってんのにか?…ああ、そうだな、お前は丁寧にされるのが好きなんだもんな」
ローションが出ていって、温かいお湯で濡れたタオルがそこを拭いた。それで終わりかと思えばまた指が中に入ってきて優しく壁を撫でる。
「ふ、ぅ…ぁ、あ…」
「こうされるのが好きなんだよな」
「あ…好き、もっと…」
「ああ」
宗ちゃんが記憶を塗り替えるかのように優しくそこを触る。気持ちいい、さっきとは全く違う。
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