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出会いから数時間後2
隣の部屋からひょっこりと顔を出す―クラスメイトA。鼓の心臓が飛び跳ねた。
「?!?!?!?!」
「あはは、びっくりしすぎて声も出ない感じ?」
再度言うが、鼓の部屋は一人部屋になっていて、未だ同居者はいない。よって、このクラスメイトAがここにいる理由は―分からない。
「なんで、いるの?」
あくまでも早く出ていってほしい感を出さないように鼓は笑いながら問いかける。顔が引きつっているのは、この際知らないふりをしておこう。
「ある人に荷物運び手伝ってって言われちゃって...ごめん、勝手に上がって」
「ある人...?」
左の部屋を指さすクラスメイトAにつられて、鼓が部屋を確認すると殆どの荷物が運び終わっていた。箱に入ったものもあるが、大抵は個包装なしで置かれている。
ベッドが既にあることに寒気を感じた鼓に、クラスメイトAはにこやかに笑う。
「まさか、鼓くんが氷川先輩と同居するなんて」
(いま、なんて、言った?)
「それ、誰が言ったの」
「え、氷川先輩だよ?」
ぎぎぎ...と機械音がしそうなほどゆっくりと、鼓はクラスメイトAから顔を背けた。
(クラスメイトA...俺は同意してないんだけど?!けど、ここで否定したは変に拗れる気がする。でも...そうだよ同居するよとも言いたくない)
なにか後ろで大きな力でも働いているんじゃかいかと青ざめる鼓に、クラスメイトAはさらに追い打ちをかける。
「氷川先輩、もう少ししたら帰ってくるらしいよ」
(同居確定。もうやだ...俺の快適一人暮らし返して)
「あ、りがとう...」
「どういたしまして。氷川先輩も人使いが荒いよ、全く。たまたま生徒会室の前通ったら「いま暇?荷物運んで欲しいんだけど」って」
(災難すぎ、クラスメイトAくん。君のことはつぎから苦労人くんって呼ぶね)
目先のことを考えずクラスメイトAのことを災難だと思い始める鼓。これぞ現実逃避だ。
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