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お見合い会場はこちら3
「シャーペンとか教科書を盗っ...借りた理由は、つーくんの手垢が欲しくて」
(手垢って取れるもんだっけ)
「靴はつーくんの足の匂い嗅ぎたくて」
(足臭いのかな...俺)
「服とかはつーくんの甘い香りが嗅ぎたくて」
(柔軟剤、そんな香りにした記憶ないんだけど)
「ストローはつーくんの唇に当たったと思うとドキドキして…」
(…どきどき?…)
「食べたあとのゴミは、丼系をよく拾ったかな。つーくん容器の縁に口付けて食べる癖あるから」
(いつの間に見てたんだろ。生徒会室に監視カメラあるのかな)
「食べ残しは...俺が責任もって食べ尽くしたよ」
(なんか、環境にやさしい。ってか俺が残すのって風邪の時くらいなんだけど)
「先輩、風邪引いてません?大丈夫ですか?」
「?大丈夫だよ」
全くもって的はずれな意見を思う鼓。そして全く関係のない心配をしている。
おかしなことに、鼓は一度も「気持ち悪い」や「おかしい」などと発していないのだ。世間一般の反応と掛け離れたものに、なぜか―遼介は違和感すら覚えていなかった。
黙り込んだ遼介。なにやら深く考え込んでいるようだ。鼓は静かに待って―
「………」
否、寝かけている。船漕ぎはしてないものの、瞼はほぼ閉じかけており、何度も目を擦っている。
(眠い...…最近夜中に嫌がらせしてくる奴いるから…)
「つーくん?」
鼓の首がかくん、と落ちかけたところで遼介が異変に気づき肩を揺らした。遼介は可愛いすぎると不気味に笑う。傍から見れば犯罪者だ。
「疲れたの?」
(誰の、せいだと?)
「...先輩の質問のせいです。あと、先輩が急に引っ越してくるから。それに、先輩自体が悪い」
心の中がダダ漏れだ。どうやら眠くなると本性を隠しきれなくなる質らしい。遼介はそれを狙ったとばかりにさっきの答えを執拗に聞く。
「つーくんは俺のことどう思ってるの?」
「そんなに好き好き言われると...その...」
「その?」
「…うれしいっていうか」
―遼介が笑う。
「気持ち悪いじゃなくて?」
寝ぼけなまこで鼓は遼介を見る。
「いままでそんな、好きって言ってくれる人...いな、くて」
鼓の口調が危なげだ。時々目が閉まりそうになっているし、虚ろである。
「感激ー?」
「う……んぅ…かん、げき」
もう何を言っても聞こえなさそうな鼓。遼介は快くして鼓に適当なことを言わせる。
「ねぇねぇ、つーくん」
「んー…うん?はい」
「いまから、お着替えするよね?もう寝るよね?」
「寝ます…おやすみ」
「ならさ!
つーくんの脱ぎたての靴下くださいお願い致します」
「…嫌です」
遼介の変態発言に、さすがの鼓も目を覚ました。
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