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お見合い会場に侵入者1
パジャマに着替え終えた鼓は一度リビングに戻った。遼介はそこにはおらず、遼介の部屋となった左の部屋からがさごそと音が聞こえる。
(俺、同居を許した覚えないんだけど)
でも、荷物ここまで運んで来てるし追い返すのも大変だよねと鼓は容認することにした。
みやび荘とかぐら荘の間にひめみや荘がある。ひめみや荘もなかなかの大きさのため、かぐら荘からみやび荘へ行くには骨が折れるのだ。
荷物を持ってきた苦労人くんもしんどかったに違いない。それを思うと、鼓は帰れとは言えないのだ。
鼓が戸をノックしようとした時、戸が先に開いた。
「あ」
「どうしたのつーくん」
「なんでいるって分かったんですか」
「俺のつーくんセンサーが働いたから」
(なにそれ。反応しづらい...)
鼓は苦笑いで返した。遼介はで、どうしたの?と鼓に聞く。
「もうそろそろ夜なんですけど、ご飯どうしますか」
「ご飯...いつも誰かが作って持ってきてくれるよ?」
みやび荘では、一流料理人によって確実に、時間内に料理が運ばれてくる。そのため、遼介は食材が料理へと変わるところを見たことがない。
(くそ...金持ちめ!)
「じゃあご飯どうしますか?俺、いつもは作って「つーくんのご飯食べたいです!」…る、んですけ、ど...」
鼓の言葉に被せるように遼介が食らいつく。
「…..口に合わなくても困るんで、やっぱりみやび荘から...」
「つーくんの方が美味しいに決まってる」
(つーくんの方がって、なんか俺を食べるみたいな感じ)
「あ、それから」
「料理は作ってくれるの?」
「作りますから黙っててください。それから、夜になると…その…」
言い淀む鼓に遼介は?マークを浮かべる。
「俺と同室になると、その、嫌がらせがくるんですよ」
「嫌がらせ?」
「俺も最初は2人1部屋で使ってて、同室の子がいたんですけど、俺と一緒ってだけですっごい嫌がらせされたみたいで。少ししたら出て行ってしまいました」
「...最悪、だね」
遼介は悪質だ、と眉を顰める。大丈夫?と遼介が問うと、 もう他の部屋に移ったので大丈夫ですと返ってきた。
「そうじゃなくて。つーくんは大丈夫なの?」
「俺は、えっと。ここ最近は夜中にドアを何度も蹴られたりポストに大量の髪の毛?みたいなの入れられたりするだけです」
「ここ最近...ね」
遼介は同室の子のことは心配していない。しかし、鼓に危害が加わるとなると、話は別なのだ。
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