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お見合い会場に侵入者3

深皿3皿分の青椒肉絲と、丼に並々と注がれたふかひれスープ。そして、丼サイズの茶碗。 「いただきます」 「...…...いただきます」 対する遼介は普通サイズの汁椀と茶碗である。普通サイズだが、少し大きいくらいだ。 「いっぱい食べてくださいね」 うん、と言う遼介は困り顔だ。青椒肉絲を箸でつまみ、取り皿の上に乗せる。見た目は美味しそうだが、果たして。 「...っ!」 口に含んだ途端、遼介がテーブルにバタンと倒れ込んだ。というより、頭を打ち付けた。並々と注がれたふかひれスープが揺れる。 「先輩?!どうし、...あ、...やっぱり口に合わなかったですよね。すいません、今からでもみやび荘に連絡して―」 鼓が捲し立てる中、遼介は箸を握った手を震わせるだけで動かない。いよいよ鼓は青くなってきた。 (そうだよ、先輩にこんな辺鄙な料理出しちゃいけないんだよ。先輩は一流シェフのご飯食べ出来たんだから、俺の料理なんて食べれないに決まってる) 「ごめんなさい、先輩。こんなつもりじゃ...」 「......」 遼介がゆっくりと起き上がる。その目には―涙。 「!そ、そんな泣くほど不味かったですか?!すいません、すぐに捨てまっ」 慌てて皿を掴み下げようとした鼓を、遼介は手を取って止めさせる。 「違うよ...つーくん...」 「え...?」 「お、美味しすぎるよ...これ。いままで食べてきたもの何だったんだろうってくらい...美味しいよ......」 (...なにそれ。美味しすぎて泣いてたってこと?............紛らわしい!!!) 「シェフが作ったのより美味しよ。なにこれ、どうやったらこんな神の領域みたいなご飯が出来るの...!」 泣きながら、ばくばくと食べていく。このままでは、皿一杯半は食べてしまいそうな勢いだ。 「ってかつーくんの手料理食べれるとか生きててよかった。なんかもう、肉汁が野菜に絡みついてく...。おいしい、野菜が生きてるよ。口の中で踊ってるよ...。 ふかひれスープ、シェフが作ったのより断然おいしい。細切りにしてあるからするする入ってくる...」 その後も遼介は延々と料理を褒め続けた。 (...そこまでべた褒めされると、恥ずかしいんだけど) 鼓は赤面し、俯きながら青椒肉絲を口に入れた。 「うん、おいし...」 「つーくんご飯ください」 「え、早?!」 ちなみに、キッチンにある炊飯器は食堂から借りてきたかなり大きいものである。

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