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お見合い会場に侵入者4

鼓がスープを飲み干し、おかわりを取りにキッチンに立った頃。玄関の扉がコンコンと叩かれた。 「誰か来たよ?」 既に食べ終えた遼介はソファーで寛いでいる。結局、皿は1枚だけ食べだが、そのほか2枚は鼓が食べ尽くした。 「いま何時ですか?」 「9時だよ」 「なら無視してていいです」 「...そう」 さっきまで楽しそうにしていた鼓の声はまた無感情に戻っている。なにも聞かないでと言っているような背中に、遼介も黙った。 しばらくすると、ノックだった扉の音は蹴る音に変わった。ガチャガチャとノブを何度も回す音も付き纏う。そのうちポストに何かを捩じ込むように開閉する音が聞こえてくる。 「つーくん...?」 遼介もさすがに訝しげに鼓を見る。 「言ったじゃないですか、嫌がらせがあるって。下手したら誰かが引っ越してきたのを見てて先輩への嫌がらせも含まれてるかもですけど...」 (もし、氷川先輩だと知らずやってるんだとしたら。......そこまで、馬鹿じゃないと思うんだけど) ポスト確認してきます、と鼓は席を立った。 玄関先まで来た鼓は、ひっと軽く悲鳴を上げた。ドアスコープに釘が刺さっていたのだ。それに、ドア裏についているポストからは異臭が放たれている。 (覗いてたらと思うと怖い。......やったやつの目、抉り出されろ) 内ポストを開けると、髪の毛、否、カツラが突っ込まれていた。 (金の無駄遣い。いや、ここの人達にとって金はただの紙切れか) ポストをさらに深く探ると―― なにか、ぬちゃっとしたものが手についた。同時に、紙も引っ張り出せた。紙には「新しい同居者様へプレゼント。どうぞお受け取りください」と皮肉めいたことが書かれている。 (やっぱり...こいつら馬鹿だった) だが鼓は諸共せずポストと取り外し、中身をひっくり返した。 「...あー...これは、ちょっと......」 入っていたのは、使用済み避妊具だった。それも口を縛らず開きっぱなしなため、玄関先に異臭が漂うこととなる。 (俺触っちゃったよなぁ、これ。ぬちゃってしたもんなぁ...気持ち悪い...) 洗面所から雑巾とゴミ箱を持って、掃除をし始める。雑巾ごとゴミ箱に投げ入れ、ゴミ袋の口を強く縛った。 そこで、鼓は手が震えていることに気がついた。 (ここまで酷いのは初めてだ...死ねクズども...ほんと最悪)

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