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お見合い会場に侵入者5
どん、とまたドアが蹴られる。
ドアスコープを覗こうにも覗けず、鼓は扉越しで対処することにした。
「つーづーみーくん」
(誰の声?鷲野 じゃない...)
「プレゼント気に入ってくれたかなぁ?」
「......気持ち悪いんだけど」
「酷いな、人の好意を無下にするだなんて。新しい同居人にあげなよ、ちゃんと」
(は?気持ち悪いし、そんな好意いらない。もしかして、あれコイツの出した後?きも...出来たてホヤホヤかよ)
ぞわぞわと鳥肌が立つ。鼓は括ったゴミ袋を手に持った。
(気持ち悪いし、吐きそう。でも、それよりも)
―腹が立っている。もちろん自分に対してこんなことをする奴に、ではない。遼介のことも知らずに、自分と一緒というだけで嫌がらせしようとする精神に腹が立っているのだ。
(誰でもいいのかよ)
靴も履かずに鼓は玄関を開け放った。その行動には相手も予想していなかったようで、たじろいだ。
そして、鼓はゴミ袋を相手に叩きつけた。
「気持ち悪い!!」
「?!」
鼓の大声に、相手は目を丸くする。どうやら、なにもしてこないものだと思っていたらしい。的が外れた相手は怯みながらもつを睨みつけた。
「お、お前が悪いんだ...」
「......はぁ?」
「お前のせいで、庶民に...下民に、成績が負けるだなんてありえないって、親から見放されて......」
鼓はその馬鹿な発言に物も言えず、一瞬呆けた。続いて激しい罵倒が始まる。
「馬鹿じゃないの?そんなの自分が勉強してないからでしょ。それを俺のせいにするだなんて、勘違いも甚だしい。
あなたがどんな成績取ってか知らないけど、勉強すれば俺の成績なんてすぐ超えられるよ?それすらしてないなら本物の馬鹿だね。帰って。そんな理由で来ただなんて阿呆らしい」
相手は苦い顔になり、最後には力が抜けてきたのか座り込んでしまった。勉強を怠っていたのは図星らしい。
「それに、俺の同居人のこと知ってる?いま部屋にいるけど―」
遼介のことも言ってしまおうと意気込むが、鼓は後から現れた手によって口を塞がれてしまう。
鼓が目を見開く。視線だけ後ろを向けると、遼介がいた。
「こら、つーくん。俺にも自己紹介をさせなさい」
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