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お見合い会場に侵入者7
だってさ、と遼介が拘束を解きながら言う。
「だって、俺の大事な大事な、だいっっ.........っじなつーくんが、コレの精液で汚されたんだよ?いますぐコレのを切り取ってやりたいくらい怒ってるんだから」
コレ―つまり、相手のことをモノ扱いする遼介は、身長差で自分より下の鼓の頬を両手で挟んだ。くい、上へ顔をあげさせる。
「俺はつーくんのこと大好きだからね。とっても大事。だから汚されたくない、穢されたくない」
「よご...、けがさ......」
鼓が目を瞬く。なにを言ってるのか分かっていない顔だ。
「つーくんが劣等種に嫌がらせされてるのが嫌だな」
(れ、とうしゅ?)
劣等種がなにを、だれを指すのか鼓はわからず首を傾げた。
「勉強もできない、自分の意思も言えない、親に従いっぱなし。等級·程度が水準より劣っている種。劣等種」
まるで辞書をそのまま引いてきたような言葉。劣等種と言われたのにも関わらず、相手は呆然とするだけで言い返してこない。
「君はさ、俺のこと好きなの?」
遼介が視線だけを動かし見る。鼓は遼介の顔をじっと見るだけで、動かない。
微動だにしなかった相手が言葉をやっとの事で飲み下し、苦しげに話し出した。
「先輩は...かっこよくて、なんでも器用で、後輩に優しくて、先生方にも信頼されてて。そんな所が、俺は好きです」
言われた本人は、聞いたくせにさも興味なさげにふぅんと呟いただけ。遼介は再び鼓を腕に閉じ込め、額にそっとキスをする。
「でも、残念でした。俺は、君のこと大嫌いだよ。
君は俺の外面ばっかりで内面なんてまったく見えてないんだね」
「っ」
「俺はつーくんだけの騎士 だからね、これからは後輩に良くする気なんてないから―分かったら消えろ」
「先輩、言い過ぎじゃないですか?」
走り去る相手の後ろ姿を見つめる鼓に大丈夫だよと囁く遼介。そしてそっと後から目を塞ぐ。
「見てると、腐るよ」
「腐るって...」
「さ、つーくん。お部屋に戻ろうか」
「ちょっ...先輩、目隠しで歩かせないで。危ないです」
(あんな追い払い方して...先輩、大丈夫なのかな?俺は別に.....いいんだけど...)
ふらつきならが、ふたりは部屋に戻って行った。
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