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土曜日と日曜日と月曜日のお話1
(………あ、つい)
鼓は異様な暑さで目が覚めた。なにかが体に纏わりついているような、そんな暑さ。それに、声が聞こえる。誰かと話している…よう、な。
「うん、そうそう。え?追い出す理由?うーん…職務怠慢。学生は勉強すべきなのにそれを怠ったから…だめ?じゃ、そっちで適当に考えてよ。切るからね」
(電話…してる…誰が?)
少しずつ意識が覚醒していき、鼓はそっと目を開けた。そこには、青色が広がっていた。
(…海...違う、パジャマだ)
海と勘違いしそうなほど綺麗な、青地のパジャマが、目の前にある。どうしてだろうと鼓がまだ寝惚けていると、ごそごそとそれが動いた。
「よかったね〜つーくん。これでつーくんに害があるモノはひとつ消えたからね。これからは安心して夜寝るといいよ」
(……つーくんって……………おい待て)
はっと完全に目覚めた鼓は、ゆっくりと顔を上げる。
「あ、おはようつーくん。朝からつーくん見られるなんて最高だなぁ。盗聴器は付けたけどさすがにカメラはつけれなかったからさ…」
そう和やかに、まるでそこにいるのが当たり前のように遼介は鼓の髪を撫で微笑んだ。ちゅんちゅんと小雀が鳴くのが窓の外から聞こえる。
…ちなみに遼介の頭は昨日鼓が彼を生徒会室で見つけた時のように、ぼさぼさ。まさに鳥の巣であった。
「なんていい朝なのかな...最高...」
1人で感動し目を潤ませる遼介。
「先輩...おはようございます。髪の毛すごいですね、これは朝からセットするの大変でしょうね」
勝手にベットに入ってきたはずだが、鼓は普通に返事をする。気にならない性格のようだ。否、諦めか?
「おはよう。そう、とっても大変なんだ。昔からくせっ毛でね」
「…ところでちょっとお聞きしたいのですが」
「どうしたの?」
「質のいい、それも優秀な鍵屋さんって知ってますか?」
「?知ってるけど、どうしたの」
「部屋に鍵つけてもらおうかと思って。俺の部屋と、あと先輩の部屋に。先輩の鍵に関しては俺が持ってるってことで」
「それ俺出れなくない?!」
「人のベットに入ってくるからですよ。あ、それと南京錠とか置いてる鍵屋さんがいいんですけど」
「ちょっと?!」
前言撤回だ、やはり気になっていたらしい。鼓は遼介をベットから追い出し床に転がした。どん、と鈍い音が鳴る。
「ったい...」
「おやすみなさい......また後日お会いしましょう」
「待って、それもう閉じ込める前提の話だよね?後日お会いしましょうって、俺いつまで監禁状態?」
「............もう出てこなくていいんじゃないですか」
鼓は頭から布団をかぶり聞こえないふりをした。遼介は必死になってつーくん許して〜、ごめん〜、と謝り続けた。
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