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土曜日と日曜日と月曜日のお話2

遼介が謝り倒すのを無視し、鼓はその後2時間ほどの眠りについた。そして起きた鼓が真っ先にしたのは、鍵屋に電話することだった。もちろんそれは遼介が紹介したところである。 「ねぇ、本気で鍵つけるの?」 鼓の頼みを断り切れず結局自分で紹介しておきながら、口を尖らせ遼介は問う。 「南京錠は冗談ですよ。ただ、俺の部屋には付けさせていただきます」 夜這いできない...と嘆く遼介を尻目に鼓はさくっと電話を終わらせた。 (夜這いって...夜中に来てたんだ。ついたてどうやって取ったんだろう) 遼介の話によると、昨日はすぐに風呂に入り(もちろん鍵をかけて)ふたりともすぐに寝入ったらしい。鼓は万が一にも備えてバリケード―椅子を置いたり―をしていたが、あっさりと破られてしまったようだ。 「さ、先輩。朝ごはん作りましょう。今日は土曜日なのでちょっと豪勢にいきたですね」 「.........え、昨日あんなに食べたのに?」 再びキッチンに降り立ち、器具を取り出す。遼介の言葉に鼓は不思議そうだ。 「だって、ご飯は朝昼晩でしょう?」 「......ソウデスネ」 遼介の顔が引き攣っているのに気付かず、気づいたとしても知らないふりで鼓は料理を始めた。 (なにがいいかな。和食、洋食。フレンチトーストとか朝っぽいけど、先輩のこのみかな、問題は) 「先輩甘いものは好きですか?」 「大好きだよ。つーくんと同レベで」 (どうれべって、なに?) 鼓は冷蔵庫から卵を取り出し、戸棚から砂糖と―パン1斤半を取り出した。また大量に作るらしい。それと、キャベツ2玉とその他野菜を大量に出しているのは、サラダだろうか。 「つーくんはさ、気にならないの?」 「なにがですか」 部屋に甘い香りが充満する。じゅううとパンが焼けていく。鼓がパンを焼いている反対側に、遼介は椅子を持ってきて座っていた。 「ほら、俺一応ストーカーだし、つーくんのこと男の子なのに恋愛的な意味で好きだし、いきなり引っ越してくるし、ベットに勝手に入ってくるし。怖い〜とか、気持ち悪い〜とか、最低最悪〜とか」 (自虐的。別にそこまで気にならないんだけど、すとーかーって一般的に嫌われるものなのかな) 「別に、特に、気にならない...と、思います?」 「なんで疑問形なの。......とりあえず、俺が色々するのは嫌いじゃないってこと?」 「そういうこと、です」 遼介がニヤリと笑っていたのを、鼓は下を向きパンを焼いているため見えていない。 「ねぇ、つーくん。俺は、つーくんと付き合いたいなぁって思ってるんだけど」 作り終えたフレンチトーストをキッチンの端に置き、目玉焼きを作ろうとしていた鼓は卵を1つ落として割ってしまった。 「つーくんにとっても悪い案件じゃないと思うんだ。ストーカーされること気にしてないみたいだし、むしろ嬉しそうだよ」

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