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土曜日と日曜日と月曜日のお話3

「はい先輩。ご飯出来たので運んでください」 大量のフレンチトーストと目玉焼きと大皿に盛られたサラダを遼介の前のカウンターに出す。 「お返事がありませんが?」 「目玉焼きは、醤油派ですか?塩派ですか?コショウですか?ソースですか、ケチャップですか、マヨネーズ?バター?」 「待って何その動揺の仕方。目玉焼きにケチャップとかマヨネーズとかかける人いるの?.........塩で」 「塩」 「いや袋ごと?!」 目玉焼きに変なものをかけるものに変なもの挙げたり。袋ごと塩を渡すあたり、動揺しているのが丸わかりだ。 「つーくん...まさか、好きって言われて終わりだと思ってたの?付き合うって選択肢はなかったの?」 ガチャんと鼓はティーカップの縁にポットの注ぎ口をぶつけた。さらに、注ぎすぎでお茶が零れていっている。 「...つーくん、零れてる」 「え、あ、ごめんなさい。服ありますか?」 「布巾じゃなくて?!」 布巾ではなく服で拭こうする鼓の目は泳ぎ切ってきてどこを見ているのかまったく分からない。 「動揺しすぎじゃない?」 「童謡はおもちゃのチャチャチャが好きです」 「...」 「さて食べましょうか」 そう言って鼓が持ってきたのは――ナイフだった。 (そうだよね、好きになったら付き合いって思うのが普通だよね。で、俺はなにに対して動揺してるんだ?付き合ってって言われたこと?それもある…けどそれより、すとーかーされて嬉しそうって言われたことだ。嬉しそう?なんで?俺、嬉しいの?わかんない) 悶々と悩む中、遼介は鼓の奇行をじっと見ていた。一人4つの目玉焼きを、鼓は1つずつ割っていき出てきた半熟の黄身に野菜をつけて食べている。さらには、フレンチトーストにケチャップをつけて口に運んでいた。 「そんなに、びっくりしたのかなぁ......付き合うってって言ったこと」 (付き合うってって言われたことより、嬉しそうって言われたのがびっくりして......だって、すとーかーってみんな気持ち悪いって言うものなんだよ?なんで俺は嬉しそうなんだ?) どこかズレている2人である。

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