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土曜日と日曜日と月曜日のお話4
鼓の奇行は朝食を食べ終えるまで続いた。
食事が終わった頃、遼介は箸をテーブルの上に置き問いかける。
「ごちそうさま。...ねぇ、真面目な話、俺はつーくんが喜んでいるように見えたよ。そこまで愛してくれる人がいなかったから、じゃないの?俺なら、つーくんを愛してあげられる。全部、ぜんぶ」
「...」
「明日でいいから返事聞かせて」
「......」
「つーくんの気持ちを、だよ?普通はこうだからとかで決めたら怒る」
鼓は無言で立ち食器を片付け始めた。
遼介が言っていたことの大半は当たっている。
鼓が好きであろうと、好かれようとも、最終的には遠巻きに見られる。なんどもそういうことがあり、愛されることなどありえないと思い始めていたのだ。もう一つの理由もあるが...。
そこに、異常なまでに愛そうとしてくれる遼介が現れる。それも、付き合うってくれと言う。
鼓の感性がどこかおかしいのはもちろんだ。結果は、ご覧の通り。
(別に...いま、付き合うってもいいって言ってもいいんだけど。焦らしてやる)
鼓はびっくり人間だ。自分をそこまで愛してくれるなんて嬉しいと思ってしまうのだ。
(俺の黒い部分見てもなんにも思わないひとだもんね。うん、大丈夫そう...)
鼓が明日にした理由は、焦らしたいというのもあるがまだ信用仕切っていないところもあるからだ。
鼓とて、1日で信用し切るのは無理だと分かっている。つまり、断ることはない。ほぼ決定事項だ。
(でも有耶無耶で付き合うとか言われたくないからね、我慢して明日)
この判断が日曜日と月曜日に大きく影響することを、鼓は知らない。
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