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土曜日と日曜日と月曜日のお話9

各ダンボールに10冊、計30冊が取り出されテーブルに置かれる。 「見ますね」 どうぞと遼介は手で勧める。白の表紙には日付が記されていた。ついでに、涼川 鼓とも。 表紙をめくると、デカデカと貼られていたのは鼓が1年生の時の集合写真である。 (入手経路がわかんないんだけど...もしかして、賄賂?) それを捲り、1枚目。まだ鼓が中学の、それも学ランを来ていた頃の写真が出てきた。それは全くもって―似合っていない。 「え、いつから見てたんですか」 鼓自身も似合わない...そう思っているのかすぐに次のページに送ってしまった。だがそこにも学ラン姿がある。 どんなにめくっても学ラン鼓しか出てこない。そのアルバムは似合わない学ラン姿で終わった。 「俺ね、つーくんがこの学校に受験しに来た時に一目惚れしたんだ。そこから、ずっと写真撮ってるよ」 (つまり...2年間すとーかーしてたんだ。すごい、なんで俺気づかなかったんだろ) 2冊目を手に取り捲るもすぐに閉じ次のアルバムに移る。中学の写真だったからだ。どれもこれも、当たり前だが、鼓はカメラを見ていない。そして、笑ってもいない。 そうして30冊中、6冊は中学時代のものだとわかった。その中には、鼓が中学校で勉強している写真もあり、学校に来たことが易々と理解出来た。 「学校に来たこととかあります?」 「先生に扮した」 「......誰かに撮ってもらった、じゃなくて?」 「そんな勿体無いこと出来ない」 自分のためならどこまでもするのだと鼓は呆れるような嬉しいような感覚に陥った。 7冊目からは電車に乗っている鼓の写真が現れた。これは春休み中の写真だろう。 電車に乗っている鼓、改札口を潜る鼓、駅のポスター見つめる鼓、コンビニでものを買う鼓、公園でジュースを飲む鼓、映画館でポップコーンを食べる鼓。 (......どうやって映画館内で、撮ったんだ) 暗い映画館の中、しっかり顔は撮れている。特殊なカメラを使ったのか。 そのアルバムを含め、10冊は鼓が出かけている写真だった。デパートだったり、帰路だったり、スーパーだったり。春休み中、ほぼ毎日出かけていたようだ。 17冊目はようやく夢ノ内に入学してきた写真になった。

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