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土曜日と日曜日と月曜日のお話10

17冊目からは、それはもう酷い有様だった。 同じ高校にいるということで盗撮し放題だったのか、あらゆるところで撮られている。 入学式の新入生代表挨拶が3冊から始まり、入寮1冊、初めての授業1冊、校外学習2冊、際どい系が6冊。 校外学習は3泊4日で、なぜだろうか、しっかり生着替えの写真まで貼られている。校外学習に2,3年生は行けない決まりなのだが。 さらに恐ろしいのは、際どい写真が綺麗に、かなり綺麗に撮られているところだ。普通なら軽くボケたりするだろう所を、鮮明に移しているところがまた恐ろしい。 (風呂の写真ある...誰か協力者でもいたの?) よくこれだけ量を集めれたともはや感心するレベルである。 写真には日付とコメントが必ず記されており拝借した(盗った)ものまできちんと書かれていた。 だが鼓はなにか納得していないように見える。 「これだけ?」 そう、遼介にしては少ないと考えているのだ。30冊でも充分多いと思うが、まだ足りないと考えているらしい。 どんどんと感化されていることに鼓は気づいているのだろうか。 「そんなわけないじゃん」 平然と答える遼介に鼓もだと思いましたと短絡的に返す。 「今持ってるのはこれだけ」 「いま持ってるのは?」 「あとはぜんぶみやび荘に置いてきたよ。あっちの方がセキュリティー万全だからね。こっちに持ってきたのはノートパソコン、あっちにあるのはデスクトップパソコン」 (セキュリティ万全にでもしないと隠せないモノって......あれかな、写真とかじゃなくて物系かな) そういえば昨日放り投げた靴下も回収されてるな、と辺りを見回す。そして、はっとしたように立ち上がってゴミ箱を覗きに行った。 「待ってつーくん。それはーっ」 なにをしたいかが分かり、遼介は一目散に追いかける。 「...ない」 一昨日、古くなってきた下着を1枚捨てたのだが、無くなっていた。というより、ゴミ箱の筈が、ゴミの「ゴ」の字すらないほど綺麗にゴミが無くなっている。 (どれだけ...俺のこと好きなの) あとから付いてきた遼介はそこに立ち尽くす。ゴミ箱を見る美少年と、その背後に立つストーカー。なかなか危ない構図だ。 「写真燃やすから許して」 「別にいいですよ。好きだから故の行動ですよね?嫌がらせとかじゃなくて」 「好きだからです。ってか、もう、みやび荘に送った」 「...」 行動早すぎですと言おうとしたその時、こんこんとノックの音が響いた。

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