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土曜日と日曜日と月曜日のお話12
さすがに引いた...?と捨てられた子犬のように見つめられ、鼓はそんなことないですよと言った。
腹黒も、遼介には勝てないらしい。
「で、なんでここに来たの?」
遼介が再び八九座に聞く。
「ええ、ご報告をと思いました」
「あ、昨日のアレ?」
「じゃあまずそのことから。昨夜来たのは2年1組斉藤ー」
「名前とかどうでもいいよ。俺が知りたいのは消せたかってこと」
「...結果から言うと、消せました」
「そう。ありがとう、もうどっか行っていいよ」
手でしっしと追い払う仕草をする。消せた、という物騒な単語に鼓もなにを意味するのか分かったらしい。
ソファーに腰掛け、昨日の面影はどこへやら、またワカメヘアーに戻った遼介に視線を移す。
「つーくん、昨日のヤツ消えたって。良かったね、これで安寧が戻ってくるよ」
(注意してくれれば、それでよかったのに)
そう思いながらも、重い愛に頬少しを緩ませている。
「つーくんは可愛いね。.........八九座、いつまでいるの?」
頭を撫でている鼓には優しく、ボディーガード兼執事の八九座には冷たく声を出す。八九座もそれが当たり前のようで、気にせず、もう2件ほどご報告が、と言う。
「鍵師が到着したのですぐにでもここに来させます」
「つーくん本気で呼んだんだね」
「本気と書いてマジです」
「ああ...夜這い......」
遼介のおぞましい発言にも臆することなく八九座は続けた。
「遼介さんがみやび荘を出て、鼓様の部屋に移ったということで、なにやら不穏な空気が流れております」
「不穏?」
(鼓様ってやめて欲しいな。慣れなくて言われる度に鳥肌立つ)
「鼓様が遼介さんを誘惑した、遼介さんはなにか弱みを握られているかもしれない、助けなければ......等々」
(また鼓様...うっ、鳥肌が...)
「酷いな。俺は純粋につーくんが好きなだけなのに」
「周りはそうは見えてないようです。特に......鼓様ですし」
「はぁ...問題児」
(そういえば鍵屋さんにスペアキー作ってもらわないと...あ、でもその前に作り直そうかな)
家の鍵について考えていた鼓は、視線を感じぱっと顔を上げる。
強面ボディーガードとワカメヘアーストーカーが鼓をガン見していた。
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