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土曜日と日曜日と月曜日のお話16

眼鏡が曇る。至近距離で見る男の顔は、酷く凸凹していて、ニキビが大量についていた。 (キモ、つか口臭い) 鍵を取り付ける前に味見したいなぁ...とかなんとか言って、男は鼓に襲いかかってきたのが、数分前。 はぁはぁと荒い息を吐きながら硬くなったソレを押し付けてきたのが、数秒前。 キスしたいって言って顔を近づけてきたのが、現状況である。 「ああ...白い肌に黒髪......エロい、誘ってるとしか思えないなぁ」 (お前を誘うためにこんな姿形してるわけじゃないんだけど。退け変態) 「どうして何も言わないんだい?どうして抵抗しないんだい?...そっか、君もこういうこと望んでるんだね」 「.........きも」 思わず、と言った感じでぽろりと本音が飛び出す。都合のいいことに、男は自分にとって有利なことしか耳に入らないようだった。 (きーもーいー) 男の体を押そうにも、両手を頭上で纏められており手は使えない。足を動かせば男の硬いところに当たり、呻き声をあげられ積極的だなとニヤつかれてしまう。 絶対絶対のピンチである。 (なんでこんなことになるんだよ、意味わかんない。先輩絶対恨んでやるからな、覚悟してろ。さっきの遊んでたって話掘り返してやるんだから。 さてどうやって抜けようかな......) 打開策を考えるうちに、鼓は自分の容姿に苛立ってきていた。 (俺、なんでこんな容姿で生まれてきたんだろう) 鼓はあまり自分の容姿が好きではない。この容姿のせいで、小さい頃からセクハラはもちろんのこと、誘拐やストーカーにあってきたからだ。 「にしても、青い目だなんて珍しいねぇ......舐めたいなぁ」 ぞわ、と鳥肌が立つ。 鼓が自分の中で1番嫌いなところは、「瞳」だ。 青い目が綺麗だと言われ、幼かった鼓は褒められ嬉しくなり誘拐犯について行ってしまった過去がある。 連れていかれたのは病院で、拘束具を取り付けられ目を抉り出されそうになったのだ。 犯人は鼓の目に魅了された、その子が誘ったんだ、悪いのはそっちだと責任転嫁し続けた。もちろん、そんな言い分が通るはずもなく、男は塀のなかである。 それを思い出した鼓は、気分が悪くなった。この男も鼓の瞳に目をつけるだなんて。吐き気がする、と。 そして、無意識のうちに。 「ギャァァァァァァ!!!!!」 男の股間を蹴り上げていた。 ちなみに、鼓がその誘拐犯から逃げれたのは、幼いながらにそれが男の急所だと知っていたからだ。

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