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土曜日と日曜日と月曜日のお話20
結局、その日の内に用務員(男)は解雇され遼介の家が所有する車に乗せられ消えていった。
「大丈夫だよ、つーくんにあんなことしたアレは二度と日の目を拝めない場所に沈めてあげるから」
呆然と見守る姿になにを思ったのか遼介は安心してね?と謎の発言を行った。鼓が男を見て不安になったとでも思ったのか。
鼓は全く違うことをかんがえているというのに。
(あれって、リムジン?1度でいいから乗ってみたいなぁ...)
そんなこんなでいつの間にか日は傾き、夜になっていた。
鼓は昨日、今日のことで疲労が溜まっているためか珍しく食事を取らず風呂に入ったあと寝ると言う。
「すみません...ご飯は、なにかデリバリーしてください」
「大丈夫だよ、ゆっくりおやすみ」
心配そうに部屋のドアから顔を出している頭を遼介は撫でてやり微笑んだ。
「昨日の。もうないから安心してね?」
遼介は、鼓の身が少し強ばっていることに気づいていた。時間はおおよそ21時。大きめの嫌がらせは同室が越してきた時だけだろうが、小さなものはかなりあったようで。毎夜毎夜ああして鼓があの嫌がらせに耐えていたのだと思うと、遼介は殺意が湧く。
「はい......ごめんなさい、ありがとうございます」
「おやすみは?」
「お、やすみなさい...」
ぱたん、と扉が閉められると遼介はリビングの電気を消し自分の部屋に入る。入った部屋はモノトーンで統一されており、落ち着いた雰囲気だ。
おもむろに遼介はクローゼットを開ける。その先には、大量のアルバムが置いてあり、なかなかに狂気的な光景だ。
「......ああ」
遼介はそれを一望すると感嘆の声を上げ1部のアルバムを開く。
鼓の下着姿だ。日付は昨日のもの。―昨日風呂に入った鼓を盗撮したのだろう。
「つーくん可愛いー」
ぺら、と捲ると今度は完全に裸の写真が出てきた。
白い肌、あまり筋肉の付いていない胸や腕、薄く色ずく乳首、使ったことのないだろうソコも綺麗に収められている。
鼓は下着や服を盗まれることを懸念していたが、遼介が盗撮魔だということを思い出さなければいけなかったのだ。
「さて、今日は寝よう。つーくんの料理意外だなんて食べる気も起こらないし」
クローゼットに鍵をかけ遼介は、部屋を出た。
そのままその足で鼓の部屋のベッドに入り込む。
そうなのだ、一連の騒動のせいで結局鍵は取り付けられていないのだ。おかげで遼介は今夜も鼓に奇襲をかけることが出来ると喜んでいる。
ダブルベッドの壁際に横たわる体を引き寄せ胸の中に閉じ込める。
「つーくんのシャンプーの匂い...最高......はぁあああ...勃つ...」
そう遼介が呟いていたことを、鼓は知る由もない。
そして、昨日と同じように魘される鼓を遼介があしていたことも知らないだろう。
次の日、鼓と遼介は怒鳴り声で起こされた。
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