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土曜日と日曜日と月曜日のお話22

馬鹿A,Bは鼓と同学年、馬鹿C,Dは遼介と同学年のようだ。 「なんか誤解してるみたいだけど、俺弱みなんて握られてないよ」 馬鹿B「そうやって言えって言われてるんですか?」 思わず舌打ちしそうになるが、何とかとどまる。玄関から出て、にドアを閉めた。 「違うってば。ほんとに自分からここに来て...」 言い訳をしようとすればするほど、信憑性はなくなり追い詰められていく。 馬鹿たちは鼓を悪者と決めつけ話を聞こうともしない。 馬鹿D「おいおい、嘘をつく必要なんてないぞ。俺らならすぐにお前を連れ出せてやれるから」 馬鹿C「安心しろって!」 (話通じない...イライラする) 遼介の苛立ちに周りは気付かず話続ける。 ―扉の向こうで鼓が聞いているとも知らずに。 馬鹿A「自分から来たって言ってましたけど、だったらその理由は何ですか。弱み握られでもしない限り、涼川に近寄ろうとは思わないと思います」 (あー...そういうこと) 目の前の馬鹿たちは遼介が鼓を好きだというのを知らないのだ。誰も好き好んで問題児なんかに近寄らない、という判断らしい。 (…好きなのに) 「自分から来た理由……それは、ちょっと」 ごそ。ドアの向こうで鼓が身じろぎする。 勝手な訪問者たちはやっぱり言えない事情があるんだ、どうしようと相談し始めてしまった。 (今言うとせっかくのが…どうしよう) 遼介も、鼓がすぐ側で聞いているなど流石に思わないようで、どうやったらこの状況を回避できるかを考えていた。 馬鹿B「でも、どっちにしろ涼川が悪いんですよね?」 睨みつけているというのに、馬鹿は止まらない。 馬鹿B「学園長から問題児を監視しろって言われたって可能性だってあるし……涼川は。だって、鷲野の―」 鼓がやめろと玄関を飛び出そうとした時。 遼介が殴ったことによって、ドアが、凹んだ。

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