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土曜日と日曜日と月曜日のお話24 鼓視点

鼓視点 『違うってば。ほんとに自分からここに来て…』 先輩は必死に弁解していた。 『おいおい、嘘をつく必要なんてないぞ。俺らならすぐにお前を連れ出せてやれるから』 『安心しろって!』 先輩の苛立ちがドア越しにつたわってくる。その後も先輩は誤解(?)を解こうとしてたけど、全然意に介さず、周りは話を耳に入れようとしなかった。 先輩が、ここに来た理由を話そうとした時他の人に言うのかなと思ったけど言わなかった。 『自分から来た理由……それは、ちょっと』 ドアに寄りかかる感じで凭れる。やっぱり、人に言うのは憚られるんだという謎の悲しみ。 俺だって気づいてる、自分が嫌われてることくらい。それを好きだという先輩が異質なことくらい、知ってる。言えなくても、仕方ない。 でも、苦しいのはなぜ。 『でも、どっちにしろ涼川が悪いんですよね?』 誰かが言った。そう、俺が悪い。俺のどこがさ好きなの知らないけど、先輩は悪くなくて俺が悪い。 『学園長から問題児を監視しろって言われたって可能性だってあるし……涼川は芯まで腐ってるから。だって、鷲野の―』 座り込みそうになったけど、慌てて立ち上がった。なんでここで鷲野の話を出すんだ、と玄関を飛び出そうとしたその時。 ドアが、なぜか、凹んだ。 鼓視点終わり

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