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土曜日と日曜日と月曜日のお話26
馬鹿はそのことに驚き眉毛を顰めた。理解できない、そう顔に書かれている。
馬鹿「なんで涼川のこと庇うんですか」
「あー、庇ってるように見える?」
馬鹿「見えます」
「つーくんの良さに気づかないのが惜しいよね」
ぴくりと肩が揺れる。さらに困惑が波のように広がっていくのが手に取るように分かった。
遼介のくすくす笑う声に、皆不可解そうである。
馬鹿「どういう意味ですか。それじゃあ先輩がまるで涼川のことをよく知ってるような言い方じゃないですか」
(気づかれたかな?でも、もういいや。ごめんねつーくん)
「君たちよりは、鼓のこと知ってるよ」
馬鹿『?!』
息を呑むことが大きい。遼介の顔は綻び、惚気ているように見えたからだ。
馬鹿「助けに来なくて良かったんですか」
「いらないって最初から言ってるでしょ?」
もう諦めるかなと遼介が一息ついた時、馬鹿のうち鼓と同学年の奴が悪態をついた。
馬鹿「……認めねぇぞ」
(何言ってんだ、こいつ)
馬鹿「涼川は俺たちを馬鹿にしたんだ。お前から引き離さなきゃ、あいつが堕ちねぇだろうが」
ただただ呆れ遼介はそいつを見る。顔は真っ赤になり今にも破裂しそうだ。
馬鹿「少しでも先輩に好かれているって思ってる涼川から、わざと先輩を引き剥がしてやろうと思ってたのに……くそ」
どうやらこの馬鹿だけは事態を理解していたようだ。遼介が鼓を好いている、そのことを。そしてあることないこと噂を吹き込みこうして人を集めさせた首謀者も、おそらくこの馬鹿なのだ。
「引き剥がして、俺にあることないこと吹き込んでつーくんのこと嫌わせようとしたの」
遼介は目を瞑りふぅっとため息を深く深く―深く、ついた。
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