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土曜日と日曜日と月曜日のお話29

(あ、れ?動かない) 遼介は石のように固まり、瞬きすらしなくなっていた。 まさに、石像。 (このまま喋り続けても、問題ない?) 一応息はしているようだから聞こえているだろうと鼓は話を続けた。 「本当は昨日言う予定だったんですけど…意地悪しちゃいました、ごめんなさい。先輩がストーカーする程俺のこと好きだって知ってだんだん惹かれてました。 俺のことそんなにあ、 あああ… あい、愛してくれる人がいなくて、なかなか信じれなかったんです。 …今は、信じたいです。昨日の告白は有効ですか?」 一気に言ったことで少し酸欠になりふぅと一息つく。 それでも遼介の返事がないとなると、鼓は逆に立ったまま気絶しているのか?と不安になった。 遼介は 泣いていた。 「ぇ?!」 馬鹿「「「「?!」」」」 ボロボロと大粒の涙を目に貯め、頬に流し、床に落とす。その一連の動きをぼーっと眺めてしまっていた鼓ははっとした。 (なんで、泣いてるの) 口をぽっかり開け、またぼーっと眺める。 「こんなおれでいいの?」 涙声+鼻声で、イケメンを台無しにする程遼介は涙でぐしゃぐしゃの顔で鼓に問うた。 「いいです」 それに平然と、笑って返す。鼓はやっと、遼介が嬉し泣きしているのだと気づいた。 「うれしいよ、つーくん」 (なんかここまで泣かれると、寧ろこっちがこんな俺でいいのって聞き辛いよ…) 遼介が鼓のことを好きだと知っているからこそ、自分自身を卑下すれば遼介が傷ついてしまいそうで怖い。

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