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土曜日と日曜日と月曜日のお話32
5人の証言により噂は確実に学校内で広まり始めていた。
1人は涼川 鼓に嫌がらせしたということで消された斎藤。
4人は氷川 遼介を引き剥がそうとした2年生と3年生。
どちらからも『氷川 遼介が涼川を庇った』という証言を得ている。幸いにも4人は消されることなく学校に来ており、話はどんどんと拡大化していった。
「ホントだって、目の前で2人とも告白しあってたんだって!」
「氷川先輩、激甘だったんだからな。涼川を抱きしめ更には額にキスを...!」
「氷川泣いて喜んでたぞ......」
「涼川は顔を赤らめて嬉しそうにしてた。微笑みあってた...嘘だ、信じられ......ない」
斎藤に関しては、理事長室に呼び出された際「氷川先輩が涼川を抱きしめていた」などと大声で言ったようで、聞いていた何人から噂にされたようだ。
最初は信じなかった生徒たちも鼓と遼介が一緒の部屋に住んでいることや、遼介の行き過ぎたファンが秘密裏に入手した二人の甘い会話の音声記録を公開したことにより話は膨らみ上がる。
涼川を罵倒するものも居れば、逆に少数だがお似合いだと言うものもいる。
だが誰一人として遼介を批判しないのはこの学校の暗黙のルールだった。
みな、消されたくないのである。そして誰しもが遼介に憧れや尊敬の念を持っているのだ。
"涼川 鼓は、あの氷川 遼介と付き合っている。そんな俄 には信じ難い噂が流れたのはつい先日のことだ"
こんな噂が流れているとは知らずに、当の本人たちは呑気にプリンを食べていた。
鼓お手製の。
「つーくんはなんでも作れるんだね。もう俺つーくん無しじゃ生きられない」
「俺がいなくなっても食事は困らないですよね?」
「精神的に無理。つーくんがいない人生なんて要らない。つーくんが死ぬ時は俺も死ぬ」
鼓が嬉しそうに笑う。まぁまぁ怖いことを言っているというのに、こちらも慣れてきてしまった。
遼介だから、と済ませれてしまうことが恐ろしい。
「つーくん好き」
「知ってます」
「つーくん、おいでおいで〜」
洗い物をしていたが、途中で切り上げソファーでプリンを食べる遼介の元へ行くと、膝を叩き座るように促された。
ぼすんとわざと勢いよく座る。ムッとしたかな?と遼介を盗み見するがニコニコとしていて全くその気配はない。
「可愛い可愛いつーくん。大好きだよ」
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