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土曜日と日曜日と月曜日のお話34
指輪をマリッジリングに取り替えた後、遼介の手にも指輪を嵌める。
指輪を嵌めた途端、遼介が鼻血を出しながらにやけているのを見て鼓は変態と呟いた。
「つーくんにならどこまでも変態になれるよ」
その返答に鼓は
「そうですか」
適当に返事をした。
結局のところ、折れたのは鼓である。一緒に行かなければ、結婚式場を今すぐにでもおさえて挙げに行くぞと脅し、遼介は鼓と学校に行く権利を得たのだ。
(ぜっっっったい目立つ)
1年生の時かなりまずい発言をしたが、鼓は目立ちたい訳ではない。平穏に暮らしたいのが本音である。
(これじゃあ好きで目立ちに行くようなものじゃん)
折れたのは自分だが、脅した遼介も悪いのだという思いをため息に交えて吐き出した。
部屋で制服に着替え、リビングで遼介を待つ。遼介は髪をセットするのに少々時間がいるらしい。
待ってる間、鼓は延々と、無心でメガネを拭き続けた。少しでも心を落ち着けたいようだが、目がふよふよとあらぬ方向を向いていたりするので無理だろう。
「つーくんお待たせ」
「終わりましたか?じゃあ行きま…」
ぴた、と鼓は動きを止めた。
(違和感すごい)
土日はずっと髪をセットしない遼介を見ていたせいか、メガネをかけ目元を表し、髪の毛を横に流している姿に多大な違和感を覚える。
「なに?じーっと見て。見惚れたの?」
「...は、い」
遼介が固まる。鼓も今自分は何を言った?!と赤面した。
「あ、えっと…」
「...」
何とも言えない雰囲気になり、互いに視線を逸らしあった。
「行きましょうか!」
「そうだね」
学校指定の鞄を肩にかけ、2人は部屋をあとにした。
「あ、その前につーくん。赤面写真を撮らせてください」
「変態」
「そんな変態俺でも好き?」
「え……………す、好きです」
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