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月曜の婚約発表会2
無事(?)舞台まで連れてこられ、鼓が座らされたのは高級そうな椅子だった。演台は取り払われ、何故か長テーブルが置かれている。準備が良すぎる、そして片づけた人の察しも良すぎる。
遼介は鼓の隣に座り、マイクを手に取った。
「改めて、涼川 鼓くんは俺の婚約者です」
『はぁあああ〜〜〜〜〜〜〜?!?!』
(その反応2回目…よくそれだけ叫べるよね)
さっきと全く同じ反応をする生徒と教師陣に鼓は冷たくツッコミを入れた。
「昨日のうちに告白して婚約も受け入れてもらました。婚約指輪も受け取って貰えたし、結婚指輪も……」
鼓の左手を取り、自分の左手を見せながら遼介は指輪を見せびらかした。キラキラと輝くそれを鼓はぼんやりと眺めている。
「はい、付けています」
もう講堂の騒ぎは収集がつかない様子。校長と理事長は知っていたのだろう、別段驚きはしていないがかなりの脂汗を流している。
生徒たちからのパッシングを恐れているのだ。
『失礼しますっ!好きになったきっかけはなんですか!!』
1人の生徒がそう大声で質問した。
「一目惚れです。鼓くんが入学してきた時に、目が合ったのがきっかけかな」
(入学する前でしょ。さすがに中学生の時って言ったらやばいから?)
『こちらも失礼します!どこが好きなんですか!!』
ほかの生徒がまた質問する。
なんというか、これでは本当に記者会見のような光景である。メディアが質問し、当事者が答える……そのような。
「どこが好き…か。全部かな。細かく言うと時間が無くなるから、1つ挙げるとすれば恥ずかしがり屋なところ」
(俺いつそんな姿見せたっけ)
また1人、また1人と質問が繰り返される。そのうち質問の刃先は鼓に向いた。
『涼川 鼓さんに質問です!氷川さんから指輪を貰った時は嬉しかったですか?!』
(お、ぉぉお、俺?!)
鼓はビシッと石のように固まるがマイクが目の前に突き出された。涙目でぶんぶんと頭を左右に振るも遼介は容赦なく鼓の手にマイクを握らせた。
「あ、あ…あ、えっと……」
静まり返る会場(講堂)。なんでこんなに静かなんだよと毒づき鼓は正直な気持ちを話す。
「こ...こんな、ことあるんだなって……っ、嬉しかったです」
最後はやけくそに叫んでマイクを遼介に返した。いい子いい子と髪の撫でられ机に突っ伏す。
(…なるほど、恥ずかしがり屋ってこういうのか)
頭の中は冷静なのに、全く顔の赤みが引かない。
質問がそろそろ底をつきそうになった頃、1人がまた手を挙げた。
『失礼します。この場をお借りして言わせて頂くと―僕は氷川さんと涼川さんが婚約するの……僭越ながら非常に具合が悪いと感じています』
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