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月曜の婚約発表会4 遼介視点

side遼介 なんだかんだ言いつつ、鼓は靴と靴下を脱ぐために足を椅子の上にのせてくれた。そういうところもかわいくて仕方がない。 そしてその脱ぐ手には俺があげた指輪が光っていて、なんとも言えない幸福感に包まれる。ああ、やっと俺のものになったんだという…これを人は達成感と呼ぶのだろうか。 ーーーー鼓には、友達がいない。上辺だけのクラスメイトも噂と今日のことでさらに離れていくだろう。鼓には悪いけどそれで良かったと思ってる。…友達がいないから、普通が分からない。だから俺の異常性にも気づきにくいだろうし、取り入りやすい。 それに、友達なんていたら俺が嫉妬で狂いそうだ。というか殺…。しかしそんなことをすれば鼓が悲しむだろうことはわかっているため、したくはない。本当に友達なんていなくて良かった。 …鼓は自分のことを腹黒と思っているようだが、そんなのかわいい方だと俺は思う。なぜなら俺のほうが、腹黒だからだ。それに傲慢で、冷淡、時として人を人とも思わない部分だってある。現に今俺はひどく醜い考え方をしているのだ。 例えば、鼓が問題児なのは少し考えものだけど、その分孤立してるし俺だけが話しかけてくれる、愛してくれるって思い込みやすい、と考えていたりするのである。 これは余談だが、鼓は実はこの学校の生徒に非常に人気がある。容姿が整ってるせいで変なのが纏わりつきやすい。ソレらを排除するのはかなり骨が折れた。褒めて欲しいくらいだ。 鼓は頭がいい割に自分のことについてあまり頓着ないところがある。だから、知らない。……この学校に、鼓のファンクラブがあるということを。 嫌われてるとばかり思い込んでる鼓。でもそれは間違いだ。むしろ、好いてる人数と嫌ってる人はちょうど数半々くらい。 忌々しい、雑魚ども。鼓がいじめられてると知りながらも、助けようともしない。 でも、それは俺も同じ。 …………俺は、いじめを知っていた。でも下手に動けば鼓に危険が及ぶ可能性があったのだ。 この学校のルールでは生徒会長は最も有力な権力者の一年生から選ばれることとなっており、なったばかりで勝手がわからずただただせわしない日々を送っていた。ようやく慣れてきた二年の時に鼓が入学してきて、あの爆弾発言だ。…もしあの時に俺が庇っていれば、まだまとめきれていない生徒が暴動を起こすのは容易いことだっただろう。今までそういう勉強をさぼってきたツケが、ここに回ってきたのだ。 ようやく事態が収拾したのは三年になってからで、それまでどれだけ心苦しかったか。俺が少しでも動けば事態は悪化する、しかし何もしなければ鼓はつぶれる。その板挟みに耐えきって、俺は鼓に会いに行った。 実は生徒会室で写真をばらまいて寝ていたのは、わざとだ。…………もう、隠れて行動する理由がなくなったため、鼓の前に姿を現したのだ。

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