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そうして、現在の二人 1

[鷲野編]拝啓 遼介という後ろ盾を手に入れた鼓は、それはもう傍若無人に振る舞いー。 なんてことはなく。いつも通り、普段どおりに過ごしていた。学校もいつも通りだ。 そう、嫌がらせも。 鼓への嫌がらせは件数こそ減ったものの、根本的なものまで無くならない。 理由は、理事長の息子の鷲野にある。鷲野に、やらなければこの場から追い出すと脅されやらされているものも多数いるのだ。 夢ノ内から追い出されることは、自分の家に傷をつけることになり、それはなんとしても避けたいという輩がいるのだ。 遼介も、鷲野が首謀者だと分かっているからこそ余計な生徒には手は出さない。 ちなみに、あの婚約発表会で足にキスされた鼓は恥ずかしさのあまり思いっきり遼介を蹴飛ばしている。 そうして、話は冒頭(1ページ目)に戻る。 「で、財布は?」 「だからもういいって言ってるじゃないですか!」 甘い雰囲気を出していた2人だが、実際のところそこまでだ。 「っていうかもう…恥ずかしい。なんで教室に来るたび好き好き好き好き好き言い合わなきゃいけないんですかぁ……もうやだぁ」 鼓はかなり恥ずかしがるし、遼介はその姿を見てニヤける。あまり変わらない2人の関係。 「でも、あま〜〜い雰囲気作らなきゃ疑う人出るかもしれないでしょ?」 「……付き合ってるのに疑われるって悲しいですね」 「まぁまぁ、仕方がないから。ね?」 昼食を食べる場所―生徒会室に向かいながら、遼介は鼓に優しく抱き寄せた。鼓は嫌がる素振りを見せず大人しく抱き寄せられていて、遼介のニヤけは止まらない。 というのも。生徒の間では、「鼓が脅したのではないか?」という疑惑が未だに定着しているのが現状なのだ。 遼介と鼓が相思相愛であることを周りに知らしめる為に、毎日人のいるところで好きと言い合おうと遼介は決めたのだった。 だが、これがまぁ遼介の思うツボで。現状には嘘偽りはないが、遼介の力さえあれば噂を消すなどたやすいこと。罠にまんまとハマった鼓は毎日のように恥ずかしい思いをして過ごしている。

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