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そうして、現在の二人 2
「…………あ、そうだ。先輩、財布ほんとにいりませんよ?」
生徒会室のドアを開ける。鍵は生徒会長のはずの遼介が持たず、鼓持ちだ。
「なんで?不便だしいろいろと困るでしょ」
「中庭に捨てたって言ってるんだし、拾ってくれば…」
「だ〜め」
弁当箱、基 、重箱置き鼓は顔を顰めた。......重箱?
遼介と付き合って鼓が分かってきたこと。それは、かなり、いやとんでもなく遼介の金銭感覚が狂っているということだ。
いつの間にか部屋にソファーが設置されていたこともそうだが、遼介は鼓がふと「○○が欲しいなぁ」と呟くと...。気づけばそこにある。
それも絶対に、だ。
この前鼓が「七輪で焼く魚って美味しいのかな...」とテレビを見ながら言ったところ、次の日には七輪が戸棚の中に入っていた始末。
なんで七輪買ってきたんですか?と聞いたところ言い訳は
『だってつーくん、昨日七輪で焼く魚って美味しいのかなって言ってたから欲しいのかと思った』
...とのこと。
『あ、魚は今冷凍庫の中にあるから。さすがに高いものじゃないよ?自分で船借りて釣ってきたから』
褒めて褒めてと言わんばかりにドヤ顔を決める。
船を借りること自体高つくということが何故分からないのか。
(...ってか、先輩釣りできるんだ)
後にそれが有名な陶器の専門店のものだと知り、鼓は密かに七輪を箱に戻したのだった。
(あんなの使えないし)
「何でもかんでも買い与えようとする癖、どうにかできませんか?」
無理かな、と遼介は普通の弁当を取り出す。鼓が作ったものだ。
「つーくんに俺色に染まってほしいからね」
(この人はまた恥ずかしげもなくそんなことを...っ)
遼介の言葉を無視して黙々と食べる。
「お金で与えれる愛情もあるんだよ?言葉だけが愛情とは限らない。行動に移さないと」
「...」
「ちょっ...なにその「金持ちめ」って顔。俺今いいこと言ったんだから褒めてよ」
鼓は無視した。
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