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そうして、現在の二人 4

昼食を食べ終え微睡む時間。遼介は鼓を膝の上に乗せ抱き抱えていた。 慣れてしまったようで、もう鼓も何も言わない。 もとより遼介のスキンシップが激しいせいもあるのだろう。 「あ、つーくん。今週末から俺ちょっと家に帰るね」 鼓の髪をくるくると指に巻き付け、遊びながら遼介が告げる。 「あ、はい。わかりました。先輩の部屋はみやび荘に戻しておきますか?」 「.............それ嫌がらせ?」 「冗談ですよ」 鼓があまりにも真顔で言うため、たまに冗談か本気か分からなくなる時がある。今まさに起こったこれだ。 遼介は冗談でよかったと安心した。 「あっちでパーティがあるみたいでね。俺、強制参加なんだ」 「そうなんですか...大変ですね」 (パーティ開いてる金あるんだったら寄付しろよ、金持ちめども) 表裏剥離してるのではないかと思われるほどの黒さ。多分二重人格と言われる類のものだ。 「そういえば、言ってなかったと思うけど。俺兄弟いるんだ」 ぽんっと軽い調子で自分の家族のことを出され、鼓は振り返って問う。 「え、似てるんですか?」 思った以上の食いつきぶりに遼介は驚いた顔をした。 「うん。性格は全然違うけど、見た目はよく似てるかな。昔は双子と間違えられた。今中学三年生、受験生だね」 「先輩って一人っ子のイメージありました」 「そう?長男だからってすっごい厳しくされてきたけどね」 懐かしそうに語る。それを、鼓は少し羨ましく思う。 鼓は一人っ子なため、兄弟の在り方が分からない。また、一人っ子だからといって甘やかされたことも厳しくされたこともないため、親の在り方も知らないのだ。 「あ、でもつーくんは弟に近づいちゃダメだよ」 「わかりました」 (それはそうだよね。来年この学校に入ってくるのに、俺なんかと知り合いでクラスから孤立したら困るし) 弟思いだなぁと鼓は感心したが、遼介から返ってきたのはまさかの答えだった。 「なんか勘違いしてない?あいつ俺のこと好きすぎて、俺の周りの人間に酷い嫌がらせしてきてるから近づかないでってことだよ」 「へ...?」 「つーくんに嫌がらせなんてしてきたら、それこそ......ね?」 含みを持たせたね?に鼓はこくこくと頷いた。近づきません、絶対に、と。 (この人、まさかとは思うけど弟消すとか...ないよね?) そろそろ戻ろうか、と自分を膝から下ろす遼介の手を鼓はじっと見つめていた。

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