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会う、会わせろ、会わせない 1
「お前......ストーカー行為許してくれただけでもありがたいと思えよ!」
「うん、それに関してはもう本当に感謝しかない」
隆盛も詩帆も、遼介がストーカーをしていたことをよく知っているからこそ、今の現状を良しとも悪いとも言えないのだ。付き合えたのは祝福してやりたいところだが、どうにも複雑で。
ストーカーを容認する天才と、ストーカーになってしまった大富豪。
付き合えたと言われた時2人がどれだけ目を見張ったことか。
「だったらなんでバレるんだよ」
詩帆が問い詰める。別れたら元も子もないだろ、と。聞かれた本人は、遠くを見て。
「つーくんって...妙なところで感鋭いんだよね」
「「...............あぁ」」
遼介の失態ではないことを察した2人はそっと肩を叩いた。意味は、ドンマイ。
ちなみに、詩帆は腐男子(まだ深く嵌っていない)である。故にリアルBLの2人に別れられると腐の供給がなくなるため、それ以上鼓に引かれるような言動は控えてほしいところなのだ。
「なぁ、遼介。そろそろ詩帆に鼓く「隆盛は涼川くって呼ぼうか」...詩帆を涼川くんに会わせないと、こいつ暴れ出すぞ?」
「なっ、酷い!暴れないし!」
と言いながら座るベンチを足蹴にするから、説得力が全くない。
「というか、なんで詩帆は『鼓くん』呼びが良くて俺が『鼓くん』呼びがだめなんだ?」
「話聞いて!誰かきぃいぃてぇええ!」
詩帆が叫び遼介の肩を殴る。だが総スルーをした。
「だって、詩帆はもう無理じゃん?」
「色んな意味で終わってるからな」
「ねぇ...そんなに俺で遊んで楽しい?」
「楽しくないな」
詩帆がそろそろ涙目になってきた時、隆盛が漸 く話しかけた。
「楽しくないなら遊ばないでよ」
「俺は楽しかった」
しれっと答える遼介。
「遼介なんて別れちまえええ!」
げしげしと蹴られるが、遼介は気にすることなくポケットに入った小袋を取り出した。ピンク色の袋の袋口に貼ってあるテープをピリピリと剥がす。
「え?なにそれ」
興味深々に詩帆が手元を覗く。
「つーくんが作ったクッキー」
「ずる!頂戴!」
あげない、と詩帆より腕の長い遼介は上に持ち上げた。詩帆はギャーギャーと叫びながら必死にそれを取ろうとする。
が、隆盛に拳骨を落とされ蹲 り静かになった。
「詩帆...お前図々しいぞ。遼介、お前も見せびらかしたいだけだろ」
「そうだけど?」
どうやこの中で1番まともなのは隆盛のみらしい。
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