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会う、会わせろ、会わせない 3
「鼓くんに絶対会う!会わせろ!」
「だめ、会わせない」
先程から変わらぬ攻防戦。詩帆が鼓に会いたいと言い、遼介がダメだと一掃する。
隆盛はいつの間にか買ってきたホットコーヒーを、足を組んで優雅に飲んでいた。もう関わるのもめんどくさいと顔が物語っている。
「大丈夫だよ!遼介と違って下着盗んだりしないんだから」
「そんなことしたら二度とこの学校に来れないと思え」
「鬼だ、悪魔だ!この馬鹿権力者!」
ふんっと詩帆はそっぽを向く。
ほぼ毎日、2人はこうしていがみ合っているのだ。
途中までどうにかしようと思っていた隆盛は、最終的に制することを諦めた。
「ちょっとくらい、いいじゃんか......別に2人の夜の愛の営みなんて見る気ないんだし」
「見たら×す」
「ひっ」
笑顔でそんなことを言ってのける遼介。詩帆は表情を固まらせた。
「つーくんには誰にも会ってほしくない。世界には俺だけだって思わせたいんだ。先輩だけが俺に優しくしてくれる、先輩だけが俺を愛してくれるってね。そこに詩帆が入ったらどうなるの?世界は俺だけじゃなくなる。そこから友好関係でも出来たら、それこそつーくんは俺の手からはなれていってしまう。だったら友達も作らせない。誰もつーくんには近寄れないようにする。つーくんは、俺のものだ。婚約だってしてる。つーくんも俺からは逃げられない。生まれた時が違った分、死ぬ時は一緒がいいな。つーくんが死ぬ時は、俺も殺してほしい。ああ、どうせなら、目も、口も、耳も塞いで...何もかもから遠ざけて監禁したい。呼吸ですら俺が管理したい。トイレも、風呂も、着替えも、食事も.........」
そうなったら幸せだろうなぁ...と遼介はうっとりと空を見上げた。
聞いていた詩帆はドン引き、隆盛は空を振り仰いだ。
「なんでこんなヤンデレ束縛野郎になっちゃったんだろうね、隆盛」
「珍しいな、詩帆。お前と考えていることが一緒になった」
「なんでこんな......はぁ、現実は残酷だねぇ」
詩帆と隆盛がそんな話をしている間、遼介は全く聞いておらず「つーくん監禁したら、何食べさせようかな...」などと呟いていた。
空を見上げていた遼介は、ふと気づく。3階の窓側の席に、鼓が座っていることに。
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