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発言禁止令 5
手元に置かれた1台の携帯電話。それは某有名携帯会社の最新機種である。ボディは鼓の好きな色の白だ。
「使い方、分からないです」
10分以内にきちんと届けられたその品 に呆然としながら、鼓の呟きは落とされた。
鼓はタッチパネル式の携帯など持ったことがなく、ちんぷんかんぷんなのである。
「俺が手取り足取り教えてあげるよ」
鼓の手を背後から握り指一本一本を触る。その動きはどこかエロく官能的だ。
鼓も気づいたらしく手をさっと避けた。
「なんかエロいんですけど...?」
「1つ教える事にキス1回。もちろん舌―「入れたら噛み切りますが」……普通に教えるね?えっと、電源ボタンがこれで」
簡単に前言撤回をした遼介である。
「―はい、これが大まかな使い方。細かいのは折々説明するから」
「ありがとうございます」
さすが、上位成績カップルと言うべきか。遼介は要点だけを簡潔に説明し、鼓は言われたそれを直ぐに実演して見せた。
それも、かなりの早口で2~3分で終わってしまった。
((...早っ))
隆盛と詩帆がそう思うのも仕方が無い。隆盛は上位の方にいるものの、遼介や鼓程ではないし詩帆は…論外なのだ。
「あ!先輩、此処で待っててください」
「ん?」
鼓はパタパタと走って自室に入って行った。
―プルルルル
遼介の携帯が鳴る。いつの間に交換したのか、鼓からだ。遼介は震える手で電話に出る。
「っ、もしもし?」
『あ、先輩出た〜』
「っっっっっ............!!!」
遼介は机に突っ伏して、そして、動かなくなった。
『あれ?先輩?おーい』
声が聞こえなくなった鼓は何度か声を掛けたが、遼介は動かない。
「涼川くん、遼介をこれ以上萌え死にさせないでくれ」
『萌え...?』
その時の遼介の死に顔は何ともまぁ、安らかだったという。
実際は死んでいないため、遼介は少しすると蘇生した。
「さっきの話に戻るけど、護衛はこの変態と隆盛だから」
未だぐるぐる巻きの詩帆と巻いた本人の隆盛を指差し伝える。
「護衛って、なんでですか?」
やっと鼓も興味を示したらしい。
「俺がいなくなったら、つーくんに嫌がらせする輩 が出てくるだろうからね。この2人は友達だし、俺に報告が行くと思えば手を出さないと思うよ」
「別に大丈夫だと思います」
「まぁ、もう頼んじゃったし。了承してくれてるんだから無下にはできないでしょ?」
「それは...そうですけど」
納得いかない鼓をなんとか説得し、鼓は隆盛と詩帆によろしくお願いしますと頭を下げた。
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